ガーディアンルポ01「最終列車」■第8回(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
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イヌイはどなった。
急プレーキがかかる。うめき声をあげながら列車は停止した。先程のyロリー機の爆弾
で、前方K続く橋がなくたっている。
「くそっ、もり少しといりところで」
もう発射基地の姿がはっきり見えている。「船」がシルバーに輝き、立っている。
足下二百m下には、まだ、七色に輝く時間流かうずまく。
「基地からの助けは」
「だめだ、向こうからは、は手か出せない」
列車は橋の上で立ち往生していた。時間はいたずらにすぎてゆく。ロケ″ト発射まで時
間はあまりない。
スペシャル=コマンドたちが数人話しあっていたが、その内の一人がイヌイのそぱへや
って来た。
「チーフ、提案があります」
「うん、言ってみろ」
「車両Kできるだけ人をつめこんでしまうのです。恐らく二両あれば、生存者を助けられ
るでしょう。機関車を入れて三輛、伺とか我々のジェット噴射で五十m程動かしてみせま
す」
「現在、君達は伺名残っているんだ」
「五名です」
「列車に15名乗り込んで、残ったのはわずか五名か」
イヌイは考え込む。
「Jのために命を捧げてくれるんだね」
「我はコマンドです。Jを助けるために、命を投げ出すより、訓練されて
きた事はあなたも御存知のはずです」
「そうだ」
イヌイは思わず涙ぐんだ。
いずこからとも知れず、誘拐されて、未来に連れてこられ、サイボーグ手術を受けた入
々。Jを助けるためのみに存在する人間ミサイル。一度発進したら爆発するまで飛び続け
ねばならない。
「やってくれるか、Jのために」
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乗客たちは車両につめこまれた。
「一体、奴ら何をしようというのだ」
「橋が吹き飛ばされたようだぜ」
「それじゃ、俺達は動けないわけか」
「もう、いいかげんに助けてくれ」
「何回も死んだような気がするよ」
「釦い、みてみろ、奴らを」
「体を列車の要所、要所に結びつけているぞ」
「ゴー」
イヌイの声がひびいた。
コマンド全員、発進する。ジェット噴射が始まる。
コマンドの体から血が吹き出している。
しかし、列車はまだ動かない。
一気に飛び出し、そして一瞬に、彼らは体を列車から離さねばならない。
動いた。列車が動き始めた。
全員がショ″クを感じた。ガタッという音がした。
ドシンという音と共に落下した。
そのまま列車は基地K向かい慣性の法則で、突進していた。
基地の車止めに列車は激突し、全員、投げだされた。乗客達すぐ列車から飛び出し、空
を見上げた。
列車が無事に到着したのを確かめたスペシャル=コマンドが空中で自爆していっ
た。
それはJを祝福する花火、祝砲のようでもあった。ズーン、ズーンと、
確かにそれは十五回なった。
人々は伺もしゃべらず、それをながめていた。
サイトウは誰にも聞こえ々い程、小さな声でつぶやいた。
「勇敢な地球人よ、さようなら」
ガーディアンルポ01「最終列車」■第8回(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/