おばあちゃんとお別れの日。
さみしい。
長い間おつかれさまでした。
ありがとう。
おじいちゃんと仲良く幸せに。
そしてまた来世でも一緒に過ごしたい。
祖母の遺した歌集📕
「銀木犀」
米寿のお祝いの時に趣味の短歌を従伯父編集によりまとめた本。
一つの詩から体温を感じる。
祖母の一生が詰まっている。
【抜粋】
短冊に姉の記しし歌詠みて短歌と言うを知り初めしなり
北方に備える為にと一部隊校舎一棟兵舎となりぬ
突然の悲報に我はわななけり職場にて兄が爆死せしとぞ
戦争の終りし安堵と負け戦無念のこころ交々にして
結ばれし縁は尊くありがたし今日うらうらと宴はすみぬ
み仏のみひざの上に抱かれし吾子よ再びわが膝に来よ
人間の生命の不思議よみどり児の無心の顔に浮かぶほほえみ
色盲の少年の描く山の色季節の緑いずくにもなく
唐突に涙溢れ来病める子を抱きてたどりし風花舞えば
山峡をぬけし揖斐川ひらけゆく濃尾平野をたゆいながら
息子の朝の出勤前の慌ただし階段かけ上がりかけ下りつつ
息子の娶る乙女と歩む秋の道まぶしきまでに彼岸花咲く
三世代共に住む日の実現に孫三人との触れ合い愉し
三人の女孫ら夫の誕生日「踊るポンポコリン」に踊り興じぬ
人間に階級つける矛盾をば言いつつ叙勲にとまどえる夫
いみじくも芝生の中のかたばみはカシオペア座を象どりて咲く
綿密に家系家族を調べしのち順序立てアルバムに貼付初めぬ
兄も次姉も戦争中に身罷りて早々とアルバムより姿消したり
孫たちの幼き姿に飽きもせで整理中の手しばしば休む
三世代集える写真はホテルにてダイヤモンド婚祝われたる日
上の姉七十ニ次姉二十一にて別れたり米寿迎うるは我のみにして
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短歌を勉強したことはないが、わたしも詠んでみた。
洗髪す祖母の髪の毛柔らかく最初で最後心をこめて
曲がる背の茶を飲む祖母に話しかけ微笑み返すあの日のままに