勉強する意味
学校で勉強していることで、社会に出てそのまま役に立つことなんて、ほとんどない。むかし勉強したおかげで、いつでも筋道を立てて考えて生きているかといえば、とんでもない。筋や道がどこにあるかなんて、まったくわからない。毎日ウロウロ迷っているというのが実感です。
学校を卒業して、社会に出ると、毎日が本当にわからないことだらけです。どんなふうに仕事をすればよいのか。将来の人生設計をどうすればよいのか。悩みは尽きません。
道筋を考えてよく計画をし、行動しようとしても、作戦どおりにいかないことが、しょっちゅうです。そもそも作戦や戦略を立てて何かをすることが成功するのは、社会の仕組みやルールがよく整備されていて、その中身を完璧に理解できているときだけです。
でも社会はそれほど完璧ではない。道筋を立てようとしても、建てようがないのです。
だとすれば、よくわからない社会を毎日生きる上で、もっとも大切なことはなにか。
それは「わからない」ということで、簡単に諦めないことです。逃げ出さないことです。
岩波新書/2010.10
著者:玄田 有史