A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

能あるドラマーは技を隠す

2014-02-02 | PEPPER ADAMS
Showcase / Philly Joe Jones

ジャズのリズム感を味わうのにドラムは不可欠だが、時々ドラムがしっくりこない演奏に出くわす。リズム感やノリもあるが、一番困るのはただうるさいドラム。ビッグバンドの大音量でも上手いドラミングは決してうるさいとは思わない。そのような時に限って、そのうるさい音にバランスの悪いPAを使ってさらに騒音にしている。

昨年では、バディーリッチオーケストラで来日した時のグレッグ・ポッター。
何でも彼はオールラウンドで活躍しているようだが、自分の耳には馴染まなかった。後半出てきたピーター・アースキンと比較すると違いは明確であった。
ドラムというのはジャズではあまり表にしゃしゃり出ないで裏方に徹した方がいいのかもしれない。

ドラマーがリーダーになったバンドはいくつもある。ジーンクルーパーに始まり、ビッグバンドではバディー・リッチ、ルイ・ベルソン。コンボではアート・ブレイキーやマックス・ローチなど。
いずれもドラマーとして前面に出た時より、リーダーとしてバンドの統率力に真価を発揮した時の方がよい演奏が残されているように思う。

このアルバムは名ドラマー、フィリー・ジョー・ジョーンズがリーダーとなったアルバム。ドラマーがリーダーとなったアルバムはドラムが主体で時にはドラムソロを全面に打ち出したアルバムになりがちであるが、このアルバムも、タイトルそのものが“Showcase”なので果たしてどんな感じなのか。

実は、このアルバムを紹介するのもペッパーアダムスの活動歴の流れから。
その辺りを整理しておくと、1959年10月ドナルド・バードとペッパー・アダムスクインテットは初めてニューヨークを離れてツアーをする。トロント、ピッツバーグでのクラブ主演を行い、11月8日には、コルトレーンクインテット、フィリー・ジョー・ジョーンズクインテットなどと一緒にステージに立った。

そしてアダムスはドナルド・バードと別れ、このアルバムが録音された11月17日、18日の両日、8日にステージを一緒にしたフィリー・ジョー・ジョーンズのレコーディングに招かれた。

フィリー・ジョー・ジョーンズはマイルスのグループを前年に辞めたが、その後実に多くのセッションに参加している。ペッパーアダムスとこのフィリー・ジョー・ジョーンズの接点は?というと、直前の一年の間だけでも。ジョーニーグリフィンのセッション、そしてチェットベイカーのセッションなど実はかなり頻度高く一緒にプレーをしている。このアルバムもそうだが、リバーサイド繋がりかもしれない。

さらに遡れば57年にアダムスが西海岸から戻ったばかりのリー・モーガンとのセッションのドラムもこのフィリー・ジョー・ジョーンズであった。
という訳で、特にアダムスとは同郷という訳ではなかったが、2人が共演した機会は多かったようだ。

このセッションは、フィリー・ジョー・ジョーンズのリーダーアルバム。リバーサイドでは2枚目のアルバムになる。最初の「ドラキュラ」を自分は聴いた事がないのでどんな作品だったのか?
このアルバムは、ジョーンズのグループにアダムス以下の4管を入れてアンサンブルワークを重視しているので、単なるブローイングセッションではない。ドラムソロも全体の構成の中で実に効果的だ。

それにも増して、このアルバムの特徴はジョーンズの作編曲、さらにはジョーンズのピアノプレーまで聴ける点にある。あのマイルスのポギー&ベスの中のGoneも少人数でカバーしている。



Showcaseとは、ドラミングの手数の豊富さを披露するだけでなく、他の手段も用いてジョーンズのよりメロディックな表現のショーケスともいえる。これで、ジョーンズのドラミングがメロディアスな理由がひとつわかった。単なるぶっ叩きドラマーとは違って当意即妙のドラミングが得手な理由が。
アダムスの加わったセッションにおいても、性格の違うアルバムでありながら、それぞれ何の違和感もなく収まっている。

1, Battery       Blues Julian Priester 4:06
2. Minor Mode     Bill Barron 4:26
3. Gwen       Philly Joe Jones 3:57
4. Joe's Debut    Philly Joe Jones 5:35
5. Gone      George Gershwin / Ira Gershwin / DuBose Heyward 4:42
6. Joe's Delight    Philly Joe Jones 3:50
7. Julia        Julian Priester 3:26
8. I'll Never Be the Same  Gus Kahn / Matty Malneck / Frank Signorelli 3:58
9. Interpretation       Bill Barron 4:02

Blue Mitchell (tp)
Julian Priester (tb)
Bill Barron (ts)
Pepper Adams (bs)
Dolo Coker as Charles Coker (p)
Sonny Clark (p)
Jimmy Garrison (b)
Philly Joe Jones (ds,p)

Recorded at Reeves Sound Studios in NYC, November 17&18, 1959


Showcase
Philly Joe Jones
Ojc
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