The Cat Walk / Donald Byrd
1961年4月17日に新加入のハービー・ハンコックを伴ってドナルドバードと一緒に”Chant"の録音を済ませたペッパー・アダムスは、翌日の4月18日から29日までの間、クインシージョーンズのビッグバンドに加わりBirdlandに出演した。
このクインシーのビッグバンドであるが、ヨーロッパ公演の途中で出演していたミュージカルが中止となり、メンバー全員が家族と共にヨーロッパで流浪の民となってしまったという苦い思い出のツアーを前年に経験していた。一度帰国したクインシーは多額の負債を負ったにもかかわらず、この年2度目のツアーを敢行した。3月にはスイスでコンサートを行ったが、この模様はライブレコーディングされ音源はマーキュリーに残されていた。
後に、児山紀芳氏の発掘によりこのライブの模様は陽の目を見て、"THE GREAT WIDE WORLD OF QUINCY JONES LIVE"というアルバムになっている。
したがって、このバードランドでのライブはこのヨーロッパツアーから帰国直後のニューヨーク公演であった。ヨーロッパツアーではクイシンシーのビッグバンドのバリトンサックスはサヒブ・シハブであったがそのままヨーロッパに留まり、ニューヨーク公演には帯同せずアダムスがトラとして参加する事になった。このライブはラジオでもオンエアされたようなので、どこかに音源が残されていればぜひ聴いてみたいものだ。
さて、バード&アダムスクインテットの方は、ハンコックが加わった「チャント」の方はその後すぐにはリリースされずにお蔵入りとなってしまったが、前のメンバーというか本来のメンバーであったデュークピアソンが加わって、5月2日に再度クインテットの録音が行われた。
ここで演奏された曲は、ピアソンの作曲した曲が多く、この録音は実は前から決まっていたのかもしれない。ツアーに長く出ていた事、そしてツアーの途中でピアノがハンコックに代わってしまい、このハンコックの出来が良いのでこちらの録音をとりあえずは済ませたのだろう。とはいうものの、ピアソンはその後ブルーノートのプロデューサーになる人物、縁が切れた訳ではなくこの録音はひとつのけじめとしてピアソンが加わった作品集を残しておこうというになったのかもしれない。
ところが、このセッションはそうすんなり実施できなかった。ドラマーも元のメンバーのレックス・ハンフリーを予定していたが、録音当日になっても連絡がつかず急遽フィリージョージョーンズの起用となった。大ベテランということもありピンチヒッターで加わったにも関わらず、演奏を聴いても何の違和感もなくしっくりグループのプレーに溶け込んでいる。
演奏曲の中で、ピアソン&バードの曲に交じって、一曲ベイシーの演奏で有名なニールフェフティーのキュートが入っている。録音直前に、ジョーンズの提案で採用されたが一発で収録が済んだようだ。ベイシーではドラムのブラッシワークの掛け合いが特徴だが、ここではテンポも速めでスティックワークによるダイナミックなプレーになっている。
最後のハローブライトサンフラワーではブラッシワークが光る。バードのミュートプレーも特筆もの。
色々苦労の末に生まれたアルバムであるが、基本のファンキー路線に加えてピアソンのリリカルでキュートな味付けが効いた、バード&アダムスクインテットの代表作ともいえる好演だと思う。
1. Say You're Mine Duke Pearson 7:22
2. Duke's Mixture Duke Pearson 7:03
3. Each Time I Think of You Donald Byrd / Duke Pearson 5:37
4, The Cat Walk Donald Byrd 6:43
5. Cute Neal Hefti 6:20
6. Hello Bright Sunflower Duke Pearson 7:33
Donald Byrd (tp)
Pepper Adams (bs)
Duke Pearson (p)
Laymon Jackson (b)
Philly Joe Jones (ds)
Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, May 2, 1961
1961年4月17日に新加入のハービー・ハンコックを伴ってドナルドバードと一緒に”Chant"の録音を済ませたペッパー・アダムスは、翌日の4月18日から29日までの間、クインシージョーンズのビッグバンドに加わりBirdlandに出演した。
このクインシーのビッグバンドであるが、ヨーロッパ公演の途中で出演していたミュージカルが中止となり、メンバー全員が家族と共にヨーロッパで流浪の民となってしまったという苦い思い出のツアーを前年に経験していた。一度帰国したクインシーは多額の負債を負ったにもかかわらず、この年2度目のツアーを敢行した。3月にはスイスでコンサートを行ったが、この模様はライブレコーディングされ音源はマーキュリーに残されていた。
後に、児山紀芳氏の発掘によりこのライブの模様は陽の目を見て、"THE GREAT WIDE WORLD OF QUINCY JONES LIVE"というアルバムになっている。
したがって、このバードランドでのライブはこのヨーロッパツアーから帰国直後のニューヨーク公演であった。ヨーロッパツアーではクイシンシーのビッグバンドのバリトンサックスはサヒブ・シハブであったがそのままヨーロッパに留まり、ニューヨーク公演には帯同せずアダムスがトラとして参加する事になった。このライブはラジオでもオンエアされたようなので、どこかに音源が残されていればぜひ聴いてみたいものだ。
さて、バード&アダムスクインテットの方は、ハンコックが加わった「チャント」の方はその後すぐにはリリースされずにお蔵入りとなってしまったが、前のメンバーというか本来のメンバーであったデュークピアソンが加わって、5月2日に再度クインテットの録音が行われた。
ここで演奏された曲は、ピアソンの作曲した曲が多く、この録音は実は前から決まっていたのかもしれない。ツアーに長く出ていた事、そしてツアーの途中でピアノがハンコックに代わってしまい、このハンコックの出来が良いのでこちらの録音をとりあえずは済ませたのだろう。とはいうものの、ピアソンはその後ブルーノートのプロデューサーになる人物、縁が切れた訳ではなくこの録音はひとつのけじめとしてピアソンが加わった作品集を残しておこうというになったのかもしれない。
ところが、このセッションはそうすんなり実施できなかった。ドラマーも元のメンバーのレックス・ハンフリーを予定していたが、録音当日になっても連絡がつかず急遽フィリージョージョーンズの起用となった。大ベテランということもありピンチヒッターで加わったにも関わらず、演奏を聴いても何の違和感もなくしっくりグループのプレーに溶け込んでいる。
演奏曲の中で、ピアソン&バードの曲に交じって、一曲ベイシーの演奏で有名なニールフェフティーのキュートが入っている。録音直前に、ジョーンズの提案で採用されたが一発で収録が済んだようだ。ベイシーではドラムのブラッシワークの掛け合いが特徴だが、ここではテンポも速めでスティックワークによるダイナミックなプレーになっている。
最後のハローブライトサンフラワーではブラッシワークが光る。バードのミュートプレーも特筆もの。
色々苦労の末に生まれたアルバムであるが、基本のファンキー路線に加えてピアソンのリリカルでキュートな味付けが効いた、バード&アダムスクインテットの代表作ともいえる好演だと思う。
1. Say You're Mine Duke Pearson 7:22
2. Duke's Mixture Duke Pearson 7:03
3. Each Time I Think of You Donald Byrd / Duke Pearson 5:37
4, The Cat Walk Donald Byrd 6:43
5. Cute Neal Hefti 6:20
6. Hello Bright Sunflower Duke Pearson 7:33
Donald Byrd (tp)
Pepper Adams (bs)
Duke Pearson (p)
Laymon Jackson (b)
Philly Joe Jones (ds)
Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, May 2, 1961
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