Dr. T / Billy Taylor featuring Gerry Mulligan
ズートシムスとアートペッパーが共演したステージで、2人が即興で行ったブルースの演奏で会場が大いに盛り上がった。その後、続いてステージ上で行われたメンバー紹介の様子も収録されている。このMCを担当していたのはピアニストのビリーデイラー。このJazz Aliveのプログラムのレギュラーホストを務めていたようだ。ここでのテイラーはピアニストではなく、ジャズ界全体の発展に貢献していた活動の一環であった。
スポーツの世界では、体力的に生涯現役を続けることができない。競技者として現役を引退すると、コーチとなって後進を指導し、マネジメント能力があればチームの監督を務める事もある。さらにはそのスポーツ全体の普及と発展の為に協会や政治の世界で活躍することも。
ジャズの世界でもプレーヤーとして活動に見切りをつけて、作編曲やプロデュース業に転身するミュージシャンは多い。その中にはビジネス的に成功を収める者も。
しかし、ジャズを愛するミュージシャンの中には、演奏活動だけでなくジャズ界全体のために、普及や教育・啓蒙活動に熱心に取り組む活動をする者もいる。
このビリーテイラーもその一人だ。このテイラーの肩書は、作曲家、教育者、テレビのコメンテーターと多方面の活動を行いつつも、生涯ピアニストとしても現役を続けた。Dr.Tといわれたように、アメリカでは広くジャズ界全体のに通じた生き字引的な存在であり、ジャズの発展に貢献した存在であった。
そのピアノはというとスイング時代の最後に登場したのでアートテイタムの流れを汲むものであったが、バップムーブメントではパーカーやガレスピーと共に演奏し、実験的な活動にも多く参加していた。50年代のテレビ番組ではジャズの歴史やスタイルを色々なミュージシャンを招いてホストとなって紹介したように、どんなスタイルでもこなすオールラウンドプレーヤーだった。
このようなミュージシャンの演奏は残念ながら日本のジャズ喫茶ではまずはかからなかった。アメリカでの活躍は当時は日本では知るべくもなく、結果的にあまり日本では人気がないという事になる。アメリカでは誰もが知っている有名人でも、日本では無名といわれるピアニストの一人だと思う。
そんなテイラーが晩年なってGRPレーベルから出したアルバムがある。GRPというとデイブグルーシンとラリーローゼンが設立したグルーシン・ローゼン・プロダクションが前身。レーベルとして独り立ちしてから、フュージョン時代を代表するレーベルの一つに育った。このレーベルで育った若手、中堅ミュージシャンは多い。
そのGRPのカタログの中に何枚か4ビートのアルバムもある。これもその一枚になるが、ベテランがこのレーベルで演奏すると多少現代風の味付けがされているかと思うとそうでもない。中身はテイラーの飾り気のないピアノトリオの演奏だ。
それに、ゲストにジェリーマリガンが加わっているのも特徴だ。目立ちたがり屋のマリガンはどこにでもよく顔を出すが、ここではあまりしゃしゃり出ることも無くテイラーのピアノプレーに上手く花を添えている。
I'll Remember April、そして'Round Midnightとスタンダード曲から始まるが、どちらも素晴らしい演奏だ。後者はマリガンのバリトンも冴える。流石大ベテランの2人、変な気負いもなく、スタイルにこだわらない本来の2人のストレートなプレーが聴けるというのも却って新鮮だ。
最後は2人のオリジナル曲が続くが、テイラーの曲Just the Thought of Youではマリガンのソロをフィーチャーし、マリガンのオリジナル曲Rico Apolloでは、反対にマリガン抜きのトリオでの演奏。お互い普段の肩書は脇に置き、お互い張り合う事もなくプレーを称え合うような演奏が良い感じになっている。
モダンジャズの激変の時代を最前線で生き抜いてきた2人だが、スイングジャズに根差した2人の演奏の本質はこの辺りにあるのかもしれない。
1. I'll Remember April G. DePaul / P. Johnston / P. Johnston / D. Raye 6:08
2. ‘Round Midnight Bernie Hanighen / Thelonious Monk / Cootie Williams 10:31
3. Line for Lyons Gerry Mulligan 6:02
4. Cubano Chant Ray Bryant 3:47
5. Lush Life Billy Strayhorn 6:20
6. Who Can I Turn To Leslie Bricusse / Anthony Newley 4:23
7. Laurentide Waltz Oscar Peterson 4:49
8. You're Mine Billy Taylor 2:44
9. Just the Thought of You Billy Taylor 7:23
10. Rico Apollo Gerry Mulligan 4:04
Billy Taylor (p)
Gerry Mulligan (bs) #2,3,9
Victor Guskin (b)
Bobby Thomas (ds)
Produced by Billy Taylor
Recording Engineer : Jim Anderson
Recorded at Master Sound New York City in 1992
ズートシムスとアートペッパーが共演したステージで、2人が即興で行ったブルースの演奏で会場が大いに盛り上がった。その後、続いてステージ上で行われたメンバー紹介の様子も収録されている。このMCを担当していたのはピアニストのビリーデイラー。このJazz Aliveのプログラムのレギュラーホストを務めていたようだ。ここでのテイラーはピアニストではなく、ジャズ界全体の発展に貢献していた活動の一環であった。
スポーツの世界では、体力的に生涯現役を続けることができない。競技者として現役を引退すると、コーチとなって後進を指導し、マネジメント能力があればチームの監督を務める事もある。さらにはそのスポーツ全体の普及と発展の為に協会や政治の世界で活躍することも。
ジャズの世界でもプレーヤーとして活動に見切りをつけて、作編曲やプロデュース業に転身するミュージシャンは多い。その中にはビジネス的に成功を収める者も。
しかし、ジャズを愛するミュージシャンの中には、演奏活動だけでなくジャズ界全体のために、普及や教育・啓蒙活動に熱心に取り組む活動をする者もいる。
このビリーテイラーもその一人だ。このテイラーの肩書は、作曲家、教育者、テレビのコメンテーターと多方面の活動を行いつつも、生涯ピアニストとしても現役を続けた。Dr.Tといわれたように、アメリカでは広くジャズ界全体のに通じた生き字引的な存在であり、ジャズの発展に貢献した存在であった。
そのピアノはというとスイング時代の最後に登場したのでアートテイタムの流れを汲むものであったが、バップムーブメントではパーカーやガレスピーと共に演奏し、実験的な活動にも多く参加していた。50年代のテレビ番組ではジャズの歴史やスタイルを色々なミュージシャンを招いてホストとなって紹介したように、どんなスタイルでもこなすオールラウンドプレーヤーだった。
このようなミュージシャンの演奏は残念ながら日本のジャズ喫茶ではまずはかからなかった。アメリカでの活躍は当時は日本では知るべくもなく、結果的にあまり日本では人気がないという事になる。アメリカでは誰もが知っている有名人でも、日本では無名といわれるピアニストの一人だと思う。
そんなテイラーが晩年なってGRPレーベルから出したアルバムがある。GRPというとデイブグルーシンとラリーローゼンが設立したグルーシン・ローゼン・プロダクションが前身。レーベルとして独り立ちしてから、フュージョン時代を代表するレーベルの一つに育った。このレーベルで育った若手、中堅ミュージシャンは多い。
そのGRPのカタログの中に何枚か4ビートのアルバムもある。これもその一枚になるが、ベテランがこのレーベルで演奏すると多少現代風の味付けがされているかと思うとそうでもない。中身はテイラーの飾り気のないピアノトリオの演奏だ。
それに、ゲストにジェリーマリガンが加わっているのも特徴だ。目立ちたがり屋のマリガンはどこにでもよく顔を出すが、ここではあまりしゃしゃり出ることも無くテイラーのピアノプレーに上手く花を添えている。
I'll Remember April、そして'Round Midnightとスタンダード曲から始まるが、どちらも素晴らしい演奏だ。後者はマリガンのバリトンも冴える。流石大ベテランの2人、変な気負いもなく、スタイルにこだわらない本来の2人のストレートなプレーが聴けるというのも却って新鮮だ。
最後は2人のオリジナル曲が続くが、テイラーの曲Just the Thought of Youではマリガンのソロをフィーチャーし、マリガンのオリジナル曲Rico Apolloでは、反対にマリガン抜きのトリオでの演奏。お互い普段の肩書は脇に置き、お互い張り合う事もなくプレーを称え合うような演奏が良い感じになっている。
モダンジャズの激変の時代を最前線で生き抜いてきた2人だが、スイングジャズに根差した2人の演奏の本質はこの辺りにあるのかもしれない。
1. I'll Remember April G. DePaul / P. Johnston / P. Johnston / D. Raye 6:08
2. ‘Round Midnight Bernie Hanighen / Thelonious Monk / Cootie Williams 10:31
3. Line for Lyons Gerry Mulligan 6:02
4. Cubano Chant Ray Bryant 3:47
5. Lush Life Billy Strayhorn 6:20
6. Who Can I Turn To Leslie Bricusse / Anthony Newley 4:23
7. Laurentide Waltz Oscar Peterson 4:49
8. You're Mine Billy Taylor 2:44
9. Just the Thought of You Billy Taylor 7:23
10. Rico Apollo Gerry Mulligan 4:04
Billy Taylor (p)
Gerry Mulligan (bs) #2,3,9
Victor Guskin (b)
Bobby Thomas (ds)
Produced by Billy Taylor
Recording Engineer : Jim Anderson
Recorded at Master Sound New York City in 1992
Dr. T | |
クリエーター情報なし | |
Grp Records |