A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ポールゴンザルベスのテナーは、クラークテリーとのコンビで魅力が倍増するようだ・・

2015-10-19 | MY FAVORITE ALBUM
“Cookin’” Complete 1956-1957 Session / Paul Gonsalves

ビッグバンドの演奏だとどんなにフィーチャーされてもソリストの良さは全体の演奏の中に埋もれてしまいがちだ。アレンジが良ければよいほど、そしてアレンジ自体がソロと一体化されたものであると、そのソロも自然に曲の中の一部になってしまう。

しかし、中にはビッグバンドでありながら、忘れられないソロプレーが過去にいくつかある。その一つが、56年のニューポートジャズフェスティバルにおけるデュークエリントンオーケストラのDimuendo and Crescendo in Blueでのポールゴンザルベスの27コーラスのソロだろう。ある種の伝説として語られている。これは、7000人を超えるファンが熱狂したという会場の雰囲気も一緒になって実現されたソロプレーであろう。ライブそのライブ録音を聴くと、なかなかスタジオでは再現できないと思う。

このゴンザルベスがデュークエリントンオーケストラに加わったのは1950年。途中一時抜けた時期はあるようだが、それから24年間亡くなるまでエリントンのオーケストラで過ごした。エリントンに加わる前は、カウントベイシー、ディジーガレスピーのオーケストラに加わっていたというので、生涯ビッグバンド中心の人生をおくっていたゴンザルベスであった。

したがって、このゴンザルベスのプレーを聴くとなると基本的にはエリントンオーケストラでの演奏であるが、何枚かコンボでの演奏も残している。ニューポートの直前にはゲッツとの共演アルバムもあるが、リーダーアルバムとなると殆ど60年代以降の録音である。その中で伝説の56年のニューポートのプレーの後に、ゴンザルベスのテナーに焦点を当てた何枚かのアルバムがある。いずれもマイナーレーベルのアルバムであるが、FreshSoundがこれらを纏めて56〜57年のゴンザルベスのコンプリートセッションとしてCDとなってリリースされている。

中心となるアルバムは、ゴンザルベスの初のリーダーアルバムといえるCookin’。
オリジナルはARGOからリリースされたアルバムだが、クラークテリー、ジミーウッド、サムウッドヤードといった当時のエリントンオーケストラの仲間達と一緒に録音されたアルバムだ。
ニューポートから一年後の57年8月、オーケストラがシカゴに滞在中に録音された。ピアノは、流石に御大エリントンは不参加で、地元のピアニストウイリージョーンズが加わっている。此のローカルミュージシャンであるピアニストのジョーンズがピアノを打楽器的にプレーする。山下洋輔にも通じる面白いスタイルだ。

ゴンザルベスのテナーは、クラークテリーのトランペット同様決してモダンとはいえないが、かといって古臭いスイングスタイルという訳でもない。曲も2人の曲の持ち寄りが大半であるが、両者のコンビネーションが実にいい感じだ。
クラークテリーは後にボブブルックマイヤーとのコンビでも、実にスインギーなよくうたうソロの掛け合いを楽しめた。テリーのプレーはどうして周りのプレーヤーをハッピーな気分にさせてくれるのだろうか?この和気藹藹とした気分が聴き手にも伝わってくる。



一曲目の、その名も”Festival”。いきなり、ニューポートのソロを思い起こさせるゴンザルベス節を披露する。ファンはこのプレーを待っていたはずだ。この独特な、どこまでも続いていきそうな節回しがゴンザルベスの魅力だ。確かに周りが乗り出したら27コーラスも難なくこなせるかもしれない。続くテリーの曲”Terry’s Bar”では、テリー節が光る。この特徴ある節回しもテリーの魅力だ。ゴンザルベスのテナーはアップテンポのノリノリのプレーだけが魅力ではない。”The Girl I Call Baby”では、スローバラードで泣きのテナーも楽しめる。




このアルバムには、この”Cookin”以外に”The Jazz School”と題されたEmarcy盤、そしてベースのジミーウッドがリーダーとなった”The Colorful Strings of Jimmy Woods”が収められているが、いずれのアルバムにもゴンザルベス以外にクラークテリーが参加している。いつもはエリントンサウンドに埋もれてしまっていたのかもしれないが、実はこのテリーとゴンザルベスの2人の節回しのブレンドが、これらのアルバムの魅力を生み出している。

ウッズのアルバムは、Cookin’の一か月後の録音。こちらはアルトとフルートが加わっている。2人の基本路線は変らないが、フルートがリードをとることも多くグループとしてのサウンドは少し異なる。テリーはミュートプレーも多くなり、ゴンザルベスのトーンもいくらか抑え目だ。4管編成になったこともあり、ソロのバックにはリフサンサンブルが入ることが多い。ここではテリーのリフのリード役の真骨頂が聴ける。
テリーは、この後クインシージョーンズジェリーマリガンのビッグバンドにも参加するが、皆がテリーを頼るのも良く分かる。

エリントンサウンドだけでなく、ソロの魅力を存分に楽しめるゴンザルベスのコンボでのプレーもなかなかいいものだ。

1.  It Don't Mean a Thing        Duke Ellington / Irving Mills 3:16
2.  Take Nine                    Paul Gonsalves 2:57
3.  Everything Happens to Me        Tom Adair / Matt Dennis 3:06
4.  Don't Blame Me                  McHugh - Fields 3:19

Clark terry (tp)
Paul Gonsalves (ts)
Poter Kilbert (bs)
Junior Mance (p)
Cubby Jackson (b)
Eugene Miller (ds)

Recorded in New York City on September 19, 1956

5.  Festival                     Paul Gonsalves 6:53
6.  Clark's Bars                     Clark Terry 3:36
7.  Daddy-O's Patio                    Clark Terry 2:15
8.  Blues                      Paul Gonsalves 4:59
9.  Impeccable                   Paul Gonsalves 4:19
10.  Paul's Idea                   Paul Gonsalves 2:47
11.  Phat Bach                   Paul Gonsalves 3:18
12.  Milli Terry                    Clark Terry 2:32
13.  Funky                      Clark Terry 4:02
14.  The Girl I Call Baby                Clark Terry 3:32

Clark Terry (tp)
Paul Gonsalves (ts)
Willie Jones (p)
Jimmy Woode (b)
Sam Woodyard (ds)

Recorded at Sheldon Recording Studio, Chicago on August 6, 1958

15.  Falmouth Recollections            Jimmy Woode  3:12
16.  The Way You Look Tonight          J.Kern D.Fields 4:55
17.  Footy For President              Jimmy Woode 6:59
18.  The Man from Potter's Crossing         Jimmy Woode 4:21
19.  Dance of the Reluctant Drag           Jimmy Woode 4:23
20.  Empathy, For Ruth               Jimmy Woode 3:26

Clark Terry (tp)
Mike Simpson (fl)
Porter Kilbert (as)
Ramsey Lewis (p)
Jimmy Woode (b,vol)
Sam Woodyard (ds)

Recorded in Chicago on September 2, 1957

Cookin - Complete 1956-1957 Sessions
クリエーター情報なし
FRESH SOUND
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする