An Evening with George Shearing & Mel Torme
このアルバムは、1982年のグラミー賞男性ジャズボーカルの部門の受賞アルバムである。
トーメにとっては7度目のノミネートで初の受賞となった。
シアリングにとってはConcordに来て6枚目のアルバムになるが、いつのまにかすっかりConcordの主の一人になっていた。一方の、メルトーメはコンコルド初登場。カーメンマクレーに次いで大物歌手の登場だ。
カーメンマクレーの時も、レーベルへの初登場を迎えたのはジョージシアリングであったが今回もホスト役はジョージシアリングである。
移籍後間もないがこの時すでにカールジェファーソンの全幅の信頼を得ていたのであろう。
そして、このアルバムがグラミーをとるわけだが、やはり単なる顔合わせセッションではない。
ジェファーソンはしっかり策を練っていた。
このライブは、1982年4月15日にサンフランシスコ有数のラグジャリーホテル、マークホプキンスで行われた。よくあるラウンジのライブ演奏ではなく、このホテルの宴会場での演奏だ。日本のホテルでもよく行われるショー仕立てしたものだろう。ジェファーソンは、毎年恒例になっていたMasson Vineyardsの夏のセッションに2人に出てもらいたかったそうだ。このホテルでのライブはその前哨戦であったわけだが、アルバムのタイトルにもしっかりとクレジットされている。大ホールでもなく、会場が騒がしい通常のライブというわけでもなく、まずは適度な広さのライブショーというシチュエーションはこの2人のコラボアルバムにはピッタリだったと思う。
ジェファーソンは、ライブのセッティングだけでなく録音にも気を遣った。この会場は宴会場なので、天井は高いし、壁は堅い、床は厚い絨毯が敷き詰めてあるという場所、いつものスタジオやコンコルドジャズフェスティバルの野外ステージとは全く違う環境。お抱えのエンジニアのフィルエドワーズにしっかりセッティング任せたようだが、会場の雰囲気を含めてちゃんと収録されている。
ジャズを聴き始めた頃、自分はジャズボーカルのアルバムでしっくりくるのはスイングするピアノトリオをバックにしてスキャットを交えてスインギーに歌うものだった。
このアルバムはドラムレス。ベースのブライアントーフはいるものの基本はジョージシアリングとメルトーメの2人のステージを収めたものだ。どうも昔のイメージで、バラードは良いがアップテンポの曲はドラムがないと乗らないのではないかと心配になるが一曲目から心配は無用であった。
スインギーなシアリングのピアノに、トーメのボーカルが絡み、自然とスキャットでコラボが始まる。シアリングのピアノも曲によってタッチが変わる。ある時はベイシー風に。トーメの歌もアップテンポからバラードまでピアノとベースだけのバックでありながら、大編成のバックの時と同様しっかりと歌い上げる。歌の間には、ブライントーフのベースをフィーチャーしたManhattan Homedownも。そして最後のシアリングの十八番のララバイオブバードランドではシアリングのボーカルから始まり、2人のコラボは佳境を迎える。
ライブの演奏というのは一発勝負、やり直しがきかない。レギュラーグループではない3人、その一人一人が強烈な個性を持ち合わせていながら、それぞれの個性を生かしながら観客を巻き込みながら融合していく。お互いのコラボレーションで生みだした新しい成果をアルバムとして残したのはお見事としか言いようがない。
受賞したのはメルトーメのボーカルだが、アルバム自体はジェファーソン以下、シアリング&トーフの二人、そして2人の演奏のみならず会場の雰囲気を上手に収めたエドワーズ、そしてアットホームな場を作ったスポンサーや観客を含めたアルバム制作に関わった多くの人々の成果だと思う。
この成功で、2人はConcordで引き続き共演アルバムを作ることになる。グラミー賞をとるアルバムはやはりそれなりの狙いと努力が結実したものである。どんな実力者であっても今までとは違うインパクトを与えるサムシングが必要であり一朝一夕で生まれるものではない。
1. All God's Chillun Got Rhythm (Walter Jermann, Gus Kahn, Bronislaw Kaper) 3:37
2. Born to Be Blue1 (Mel Tormé, Bob Wells) 5:15
3. Give Me the Simple Life (Rube Bloom, Harry Ruby) 3:39
4. Good Morning Heartache (Dan Fisher, Ervin Drake, Irene Higgenbotham) 6:10
5. Manhattan Hoedown (Brian Torff) 4:46
6. You'd Be So Nice to Come Home To (Cole Porter) 2:52
7. A Nightingale Sang in Berkeley Square (Eric Maschwitz, Manning Sherwin) 5:02
8. Love (Ralph Blane, Hugh Martin) 4:55
9. It Might as Well Be Spring (Oscar Hammerstein II, Richard Rodgers) 4:42
10. Lullaby of Birdland (George Shearing, George David Weiss) 7:32
Mel Tormé (vol)
George Shearing (p)
Brian Torff (b)
Recorded live at The Peacock Court, Hotel Mark Hopkins, San Francisco
On April 15, 1982
Originally released on Concord CJ-190
このアルバムは、1982年のグラミー賞男性ジャズボーカルの部門の受賞アルバムである。
トーメにとっては7度目のノミネートで初の受賞となった。
シアリングにとってはConcordに来て6枚目のアルバムになるが、いつのまにかすっかりConcordの主の一人になっていた。一方の、メルトーメはコンコルド初登場。カーメンマクレーに次いで大物歌手の登場だ。
カーメンマクレーの時も、レーベルへの初登場を迎えたのはジョージシアリングであったが今回もホスト役はジョージシアリングである。
移籍後間もないがこの時すでにカールジェファーソンの全幅の信頼を得ていたのであろう。
そして、このアルバムがグラミーをとるわけだが、やはり単なる顔合わせセッションではない。
ジェファーソンはしっかり策を練っていた。
このライブは、1982年4月15日にサンフランシスコ有数のラグジャリーホテル、マークホプキンスで行われた。よくあるラウンジのライブ演奏ではなく、このホテルの宴会場での演奏だ。日本のホテルでもよく行われるショー仕立てしたものだろう。ジェファーソンは、毎年恒例になっていたMasson Vineyardsの夏のセッションに2人に出てもらいたかったそうだ。このホテルでのライブはその前哨戦であったわけだが、アルバムのタイトルにもしっかりとクレジットされている。大ホールでもなく、会場が騒がしい通常のライブというわけでもなく、まずは適度な広さのライブショーというシチュエーションはこの2人のコラボアルバムにはピッタリだったと思う。
ジェファーソンは、ライブのセッティングだけでなく録音にも気を遣った。この会場は宴会場なので、天井は高いし、壁は堅い、床は厚い絨毯が敷き詰めてあるという場所、いつものスタジオやコンコルドジャズフェスティバルの野外ステージとは全く違う環境。お抱えのエンジニアのフィルエドワーズにしっかりセッティング任せたようだが、会場の雰囲気を含めてちゃんと収録されている。
ジャズを聴き始めた頃、自分はジャズボーカルのアルバムでしっくりくるのはスイングするピアノトリオをバックにしてスキャットを交えてスインギーに歌うものだった。
このアルバムはドラムレス。ベースのブライアントーフはいるものの基本はジョージシアリングとメルトーメの2人のステージを収めたものだ。どうも昔のイメージで、バラードは良いがアップテンポの曲はドラムがないと乗らないのではないかと心配になるが一曲目から心配は無用であった。
スインギーなシアリングのピアノに、トーメのボーカルが絡み、自然とスキャットでコラボが始まる。シアリングのピアノも曲によってタッチが変わる。ある時はベイシー風に。トーメの歌もアップテンポからバラードまでピアノとベースだけのバックでありながら、大編成のバックの時と同様しっかりと歌い上げる。歌の間には、ブライントーフのベースをフィーチャーしたManhattan Homedownも。そして最後のシアリングの十八番のララバイオブバードランドではシアリングのボーカルから始まり、2人のコラボは佳境を迎える。
ライブの演奏というのは一発勝負、やり直しがきかない。レギュラーグループではない3人、その一人一人が強烈な個性を持ち合わせていながら、それぞれの個性を生かしながら観客を巻き込みながら融合していく。お互いのコラボレーションで生みだした新しい成果をアルバムとして残したのはお見事としか言いようがない。
受賞したのはメルトーメのボーカルだが、アルバム自体はジェファーソン以下、シアリング&トーフの二人、そして2人の演奏のみならず会場の雰囲気を上手に収めたエドワーズ、そしてアットホームな場を作ったスポンサーや観客を含めたアルバム制作に関わった多くの人々の成果だと思う。
この成功で、2人はConcordで引き続き共演アルバムを作ることになる。グラミー賞をとるアルバムはやはりそれなりの狙いと努力が結実したものである。どんな実力者であっても今までとは違うインパクトを与えるサムシングが必要であり一朝一夕で生まれるものではない。
1. All God's Chillun Got Rhythm (Walter Jermann, Gus Kahn, Bronislaw Kaper) 3:37
2. Born to Be Blue1 (Mel Tormé, Bob Wells) 5:15
3. Give Me the Simple Life (Rube Bloom, Harry Ruby) 3:39
4. Good Morning Heartache (Dan Fisher, Ervin Drake, Irene Higgenbotham) 6:10
5. Manhattan Hoedown (Brian Torff) 4:46
6. You'd Be So Nice to Come Home To (Cole Porter) 2:52
7. A Nightingale Sang in Berkeley Square (Eric Maschwitz, Manning Sherwin) 5:02
8. Love (Ralph Blane, Hugh Martin) 4:55
9. It Might as Well Be Spring (Oscar Hammerstein II, Richard Rodgers) 4:42
10. Lullaby of Birdland (George Shearing, George David Weiss) 7:32
Mel Tormé (vol)
George Shearing (p)
Brian Torff (b)
Recorded live at The Peacock Court, Hotel Mark Hopkins, San Francisco
On April 15, 1982
Originally released on Concord CJ-190
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