A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

観ると聴くだけでは大違い・・・モニカゼタールンドの1960年代前半のシングル集

2015-01-17 | MY FAVORITE ALBUM
Ohh! Monica! / Monica Zetterlund

ブログの機能に自分のブログのアクセス記録というものがある。PV(ページビュー)とか、IP(訪問数)に加え、検索ワードというものもある。要は、GoogleやYahooなどで、何のキーワードの検索から、このブログに辿り着いたかの記録である。

この一カ月くらい、モニカゼタールンドがキーワードで上位を続けている。もちろんゼタールンドの映画、「ストックホルムでワルツを」の影響だろう。自分のブログではエバンスのアルバム、そしてサドメルとの共演アルバムを紹介したが、いずれも映画の公開前の記事。残念ながら映画の情報を求めて来られた方には、あまり参考になる内容ではない。

この映画を観ると彼女の半生が良く分かり、名アルバム「ワルツフォーデビー」が誕生した経緯も詳しく知ることができる。彼女に限らないが、アルバムだけで知る演奏と、そのミュージシャンの生涯を映画なり、自伝で知って聴く演奏とでは、明らかに聴く方でも印象が異なってくる。

この映画は、レナードフェザーに誘われて彼女がニューヨークに行くところから始まる。トミーフラナガンをバックにクラブ出演をするが、声をかけたレナードフェザーの思惑違いか、観客にはまったく受け入れられなかったシーンだ。

映画でも1960年のクレジットがどこかであったように記憶しているが、この彼女の渡米に関しては、ペッパーアダムスのディスコグラフィーを見た時にも気になっていた。というのも、その記録によると1961年8月、レナードフェザーの監修で、モニカゼタールンドのレコーディングセッションに参加とある。

メンバーは当時コンビを組んでいたドナルドバードと一緒、ピアノ以下のメンバーはUnknown。レーベルも定かではないという記録だ。
いずれにしても、彼女の最初の渡米時の録音があったのは間違いないだろう。ただ、思惑違いをしたレナードフェザーの監修となると果たしてどんな形の演奏になっていたのか?
この録音が発掘されたという話は聞いた事がないが、この経緯を知るとアダムスが参加している理由以上に聴いてみたいセッションだ。

自分も映画を観て、印象が変った彼女のアルバムがある。このアルバム“Ohh! Monica”、何度か聴いてお蔵入りしていたが、映画のお蔭で棚卸対象になった。

映画では、ニューヨークデビューが上手くいかず帰国し、更にヨーロッパのコンテストでスウェーデン代表となるが採点対象外のゼロ票となり、その焦心のどん底から立ち直る時期にあたる。
ジャズをスウェーデン語で歌い、ジャズ以外にもレパートリーを広げ、舞台やテレビでも歌に合わせて演じる姿も見せる。要は、エラに憧れジャズを歌っていたが、成功するためには女の意地で手段を選ばす歌手として成功する道を歩んだ時期だ。

考えてみれば、日本でも50年代は江利チエミなど多くの歌手はジャズから始まり、日本語でジャズを歌い、そしてジャンルを超えて大歌手として育っていった。洋の東西を問わず、物まねから始まっても、歌手として大成するプロセスは同じだということかもしれない。

このアルバムは、丁度その60年代前半1962~1964年にかけて発表されたシングル盤やEP盤からの曲を集めたもの。エバンスとのワルツフォーデビーをイメージするのと全く違う彼女の一面を知ることができる。
といっても、自分の所有盤はスウェーデン盤なので、曲名もライナーノーツも詳細は全く理解できない。ということもあって、これまで中身を知らずにいたという事にもなるのだが。

新ためて聴き返すと、ワルツフォーデビーのオーケストラ版があり、ジョビンのノーモアブルースがあり、スタンダードのI Believe In Youがあったり、そして、スウェーデン民謡があったりで、曲もバラエティーに富んでいる。
そして、曲だけでなく歌い方も。ミュージカル的な歌い方をしているが。舞台やテレビで歌った曲であったのだろう。バックのウェストコースト(北欧)風のアンサンブルにも映画を観ると納得。

統一感のないアルバムの印象があったが、エバンスとのワルツフォーデビーに至る彼女の軌跡ということが分かると、映画のイメージと重ね合わせて実に印象に残るアルバムに変身するから不思議だ。



1. Farfars Vals おじいさんのワルツ
2. Siv Larssons Dagbok シブ・ラーションの日記 (Chega De Saudade)
3. Konstigt 不思議
4. Monicas Vals モニカのワルツ (ワルツ・フォー・デビー)
5. En Dag I Augusti 八月のある日
6. Vilsevalsen 迷走のワルツ
7. En Valsmelodi ひとつのワルツ曲
8. Jag Tror På Dej 私は、貴方を信じる (アイ・ビリーヴ・イン・ユー)
9. När Jag Vaknar 目が覚めると冬だ
10. Vart Tar Vinet Vägen ワインは、何処へ行くのだろう
11. Spela För Mig 私に歌って
12. Visa Från Utanmyra ウータンミイラからの歌

Monica Zetterlund – sång
Göran Pettersson – bas
Georg Riedel – bas
Rune Gustafsson – elgitarr
Staffan Abeleen – piano
Jan Johansson – piano
Björn Netz – tenorsaxofon
Egil Johansen – trummor
Bo Skoglund – trummor
Lars Färnlöf – trumpet

Recorded in Sweden, 1962〜1964

オー!モニカ!
クリエーター情報なし
ユニバーサル ミュージック

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