Standards / Bireli Lagrene
地方に行く機会があると、地の美味しいものに食指が動く。最近ではB級グルメが流行っているせいか、「何でこれがこの地の名物?」といえるようなものもあるが、やはり昔ながらの地元の特産品、そして地元の味付けの料理は格別だ。都会住まいでは目にすることのない地魚、地野菜を使った料理は珍しさも手伝って食が進む。
ジャズの世界でもその発展の中ではご当地ジャズが盛んであった。ニューオリンズから始まり、シカゴ、デトロイト、カンサスシティー、シンシナティ・・・,そして西海岸へ、地域色豊かな味付けのジャズが生まれた。さらにアメリカ大陸から世界中に広まっていく中では、世界各地の音楽と融合した独特なスタイルを生み出していった。
その中に「マヌーシュジャズ」といわれるスタイルがある。いわゆるジプシー音楽とスイングジャズのハイブリット種であり、それを生み出したジャンゴラインハルトのスタイルともいえる。当然中心となるギターの演奏スタイルも多くのギタリストに影響を与えたが、前回紹介したアルバムのチャーリーバードもその一人ということになる。
ジャンゴラインハルトの影響を受けたギタリストは多いが、自らジプシーの家系に生まれ、8歳ですでにラインハルトの演奏をカバーしていたというのが、ビレリーラグレーンである。ジャンゴラインハルト直系の後継者の一人であろう。
ジャンゴラインハルトが亡くなったのは1953年、まさにモダンジャズへの変革の時であった。ラインハルトの音楽は彼が生きた時代のジャズであるスイングジャズが基本、彼がモダンジャズの時代まで生きていたらどんな演奏をしたか興味が湧くが・・・。
一方、ラグレーンが生まれたのは1966年。彼が育った80年代のジャズはフュージョン全盛期であった。18歳の時にラリーコリエルと出会う。そしてジャコパストリアスと一緒に演奏することにより、ラグレーンはジャズ&フュージョンに大きく関わった。新しいジャズに積極的に取り組んだラグレーンだが2000年代に入ると、その経験を踏まえて再びジプシー音楽を軸足にした演奏に回帰した。
そのラグレーンが発展途上であった1992年にそのタイトルどおり、スタンダード曲をばかりを演奏したアルバムを作った。
何の予備知識もなく、どんなスタイルの演奏をするか分からないミュージシャンのアルバムを買う時、「スタンダード曲」を中心としたアルバムがあると思わず手にしてしまう事が多い。このアルバムもそんな感じで入手した一枚だ。
ここでは「朝日のごとく爽やかに」、「ボディーアンドソウル」といった歌物だけでなく、「ドナリー」や「オーニソロジー」といったパーカーナンバーのジャズスタンダードや、フランスのポピュラー曲「セッシボン」、「枯葉」や「酒とバラの日々」まで、まさにスタンダード曲が満載だ。そして最後にはジャンゴラインハルトの曲を一曲。
基本は元のメロディーラインを踏襲した演奏が多いが、原曲がイメージできないフリーな演奏の枯葉まで、それぞれの曲の解釈やスタイルも変化に富んで面白い。
メンバーは、ベースはペデルセン。ドラムがフランスのドラムの重鎮アンドレチャカレリのトリオ。スタンダード曲に加え、このメンバーにも興味が湧いたアルバムだ。
このような聴き慣れたスタンダード曲のアルバムを聴き較べるのもジャズの楽しみの一つだ。
1. C'Est Si Bon Henri Betti / André Hornez 6:43
2. Softly, As in a Morning Sunrise Oscar Hammerstein II / Sigmund Romberg 5:37
3. Days of Wine and Roses Henry Mancini / Johnny Mercer 5:20
4. Stella by Starlight Ned Washington / Victor Young 6:00
5. Smile Charlie Chaplin / Geoffrey Parsons / John Turner 5:56
6. Autumn Leaves Joseph Kosma / Johnny Mercer / Jacques Prévert 4:57
7. Teach Me Tonight Sammy Cahn / Gene DePaul6:03
8. Donna Lee Charlie Parker 5:02
9. Body and Soul Frank Eyton / Johnny Green / Edward Heyman / Robert Sour 7:24
10. Ornithology Benny Harris / Charlie Parker 4:25
11. How Insensitive (Insensatez) N. Gimbel / A. Carlos Jobim / V. de Moraes 7:10
12. Nuages Django Reinhardt 4:27
Biréli Lagrène (g)
Niels-Henning Ørsted Pedersen (b)
André Ceccarelli (ds)
Produced by Christian Pégand
Engineer : Malcolm Pollack
Recorded at Studio Davout, Paris, France, June 1992
地方に行く機会があると、地の美味しいものに食指が動く。最近ではB級グルメが流行っているせいか、「何でこれがこの地の名物?」といえるようなものもあるが、やはり昔ながらの地元の特産品、そして地元の味付けの料理は格別だ。都会住まいでは目にすることのない地魚、地野菜を使った料理は珍しさも手伝って食が進む。
ジャズの世界でもその発展の中ではご当地ジャズが盛んであった。ニューオリンズから始まり、シカゴ、デトロイト、カンサスシティー、シンシナティ・・・,そして西海岸へ、地域色豊かな味付けのジャズが生まれた。さらにアメリカ大陸から世界中に広まっていく中では、世界各地の音楽と融合した独特なスタイルを生み出していった。
その中に「マヌーシュジャズ」といわれるスタイルがある。いわゆるジプシー音楽とスイングジャズのハイブリット種であり、それを生み出したジャンゴラインハルトのスタイルともいえる。当然中心となるギターの演奏スタイルも多くのギタリストに影響を与えたが、前回紹介したアルバムのチャーリーバードもその一人ということになる。
ジャンゴラインハルトの影響を受けたギタリストは多いが、自らジプシーの家系に生まれ、8歳ですでにラインハルトの演奏をカバーしていたというのが、ビレリーラグレーンである。ジャンゴラインハルト直系の後継者の一人であろう。
ジャンゴラインハルトが亡くなったのは1953年、まさにモダンジャズへの変革の時であった。ラインハルトの音楽は彼が生きた時代のジャズであるスイングジャズが基本、彼がモダンジャズの時代まで生きていたらどんな演奏をしたか興味が湧くが・・・。
一方、ラグレーンが生まれたのは1966年。彼が育った80年代のジャズはフュージョン全盛期であった。18歳の時にラリーコリエルと出会う。そしてジャコパストリアスと一緒に演奏することにより、ラグレーンはジャズ&フュージョンに大きく関わった。新しいジャズに積極的に取り組んだラグレーンだが2000年代に入ると、その経験を踏まえて再びジプシー音楽を軸足にした演奏に回帰した。
そのラグレーンが発展途上であった1992年にそのタイトルどおり、スタンダード曲をばかりを演奏したアルバムを作った。
何の予備知識もなく、どんなスタイルの演奏をするか分からないミュージシャンのアルバムを買う時、「スタンダード曲」を中心としたアルバムがあると思わず手にしてしまう事が多い。このアルバムもそんな感じで入手した一枚だ。
ここでは「朝日のごとく爽やかに」、「ボディーアンドソウル」といった歌物だけでなく、「ドナリー」や「オーニソロジー」といったパーカーナンバーのジャズスタンダードや、フランスのポピュラー曲「セッシボン」、「枯葉」や「酒とバラの日々」まで、まさにスタンダード曲が満載だ。そして最後にはジャンゴラインハルトの曲を一曲。
基本は元のメロディーラインを踏襲した演奏が多いが、原曲がイメージできないフリーな演奏の枯葉まで、それぞれの曲の解釈やスタイルも変化に富んで面白い。
メンバーは、ベースはペデルセン。ドラムがフランスのドラムの重鎮アンドレチャカレリのトリオ。スタンダード曲に加え、このメンバーにも興味が湧いたアルバムだ。
このような聴き慣れたスタンダード曲のアルバムを聴き較べるのもジャズの楽しみの一つだ。
1. C'Est Si Bon Henri Betti / André Hornez 6:43
2. Softly, As in a Morning Sunrise Oscar Hammerstein II / Sigmund Romberg 5:37
3. Days of Wine and Roses Henry Mancini / Johnny Mercer 5:20
4. Stella by Starlight Ned Washington / Victor Young 6:00
5. Smile Charlie Chaplin / Geoffrey Parsons / John Turner 5:56
6. Autumn Leaves Joseph Kosma / Johnny Mercer / Jacques Prévert 4:57
7. Teach Me Tonight Sammy Cahn / Gene DePaul6:03
8. Donna Lee Charlie Parker 5:02
9. Body and Soul Frank Eyton / Johnny Green / Edward Heyman / Robert Sour 7:24
10. Ornithology Benny Harris / Charlie Parker 4:25
11. How Insensitive (Insensatez) N. Gimbel / A. Carlos Jobim / V. de Moraes 7:10
12. Nuages Django Reinhardt 4:27
Biréli Lagrène (g)
Niels-Henning Ørsted Pedersen (b)
André Ceccarelli (ds)
Produced by Christian Pégand
Engineer : Malcolm Pollack
Recorded at Studio Davout, Paris, France, June 1992
Standards | |
クリエーター情報なし | |
EMI Europe Generic |