「ラブレター ~ パイラン(白蘭)より」 - 良質アジア映画
浅田次郎の短編小説「ラブ・レター」を原作とする韓国映画。ガンジェ演ずる俳優は「シュリ」で有名なチェ・ミンシク。ヒロインのパイラン役には香港女優のセシリア・チャン。まだ、今の韓流ブーム前の作品。今日の韓流ブームの中でも、この作品は何故かほとんど語られることがないようだ。それは物語のパイランのように、映画自体もひっそりと存在している。
人は、自分以外の人を通じて自分を振り返るときがある。自分の力だけではどうしようもなく、変えようもなかった日々のくらし・・・それが他の誰かとのほんの僅かな接点で変わってゆくことがある。そして、そんな僅かな接点が積み重なって今の自分があるのかもしれない。そんなことを考えさせられる作品である。
三流やくざでどうしようもない屑のような生活を送るガンジェ(チェ・ミンシク)のもとに、ある日訃報が届く。それはかつて金欲しさのために偽装結婚した中国人女性パイラン「白蘭」(セシリア・チャン)の死の知らせだった。
彼女の顔すらも知らないガンジェだったが、遺体を引き取りに彼女が暮らした海沿いの小さな町を訪れる。
そこにはパイランが、病のもとで書いたガンジェ宛ての一通の手紙が遺されていた。病と闘いながら必至に働いて言葉を覚えていったパイランの最後の手紙。そこにはカンジェへの、素朴で純粋な気持ちが切々と綴られていた。
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カンジェさんへ
この手紙を読んだとしたら、私に会いに来てくれたんですね
ありがとう。
でも、私は・・・
きっと死にます。
短い時間でしたがカンジェさんのやさしさに感謝してます。
私はカンジェさんのことをよく知っています
忘れないために写真をみているうちに、カンジェさんのことを好きになりました
好きになったら、今度は寂しくなりました
一人で過ごすのがとても寂しくなりました
ごめんなさい。
写真の中のあなたはいつも笑ってます
ここの人たちはみんな優しいですが
カンジェさんが一番やさしいです。
カンジェさん
私が死んだら、会いに来てくれますか?
もし許してくれるなら、ひとつお願いがあります。
あなたの妻として死んでもいいですか?
勝手なお願いでごめんなさい。
私のお願いはこれだけです。
カンジェさん
あたなにあげるものが何もなくてごめんなさい
この世界の誰よりも・・・・愛してる
カンジェさん さようなら
*********************パイラン最後の手紙
中国人孤児のパイランは、韓国の親戚を訪ねたもののすでに海外に移住してしまっていた。途方にくれた彼女は、就労のためにやむを得ずカンジェと偽装結婚する。そして、海沿いの小さな町で職を得ることができた彼女は、結婚書類作成の際に渡された1枚のカンジェの写真を見ながら、彼への感謝の気持ちと想いをもって毎日を生きていた。
一度も逢うこともなかったパイランの遺した手紙を通して、欠陥だらけの自分の人生と自分自身を振り返り変わってゆくカンジェ。そして、孤独で不遇な身でありながらも素朴でけなパイランの姿。そして、ラストシーンではカンジェへの想いを綴った手紙がパイラン(セシリア・チャン)の麗しい声で静かに読み上げられる。また、それを演じるセシリア・チャンは野にひっそりと咲く名も知らぬ花のように可憐な美しさだ。これでもかーというくらい涙腺を直撃し息ができないほど泣かされる。
人はひとつの曇りもない美しさに触れたとき浄化される。それがこの物語の主題であり、パイランのけなげな美しさと、それに触れたカンジェが悟る姿に心打たれる。そしてそれはスクリーンのなかのカンジェではなく、この物語に触れた自分自身もだ。
見終わった後も、その切ないラストシーンの余韻が永遠に心に残りつづける至極の名作のひとつ。
我々が、まだしばらくは人間であることが、許されるような気がしました。
オイラ、この映画は知りませんでした。
手紙の内容を読んでいるうちに熱くなってしまいました。
最近アジア映画にハマてーるカンジですにぃ。
是非観たい映画のひとつになりますたぁ♪
ありがとうございます。
なんだか素敵そうな作品をご紹介いただいて感謝です!
アジア系は『猟奇的~』が初でして・・・
それでも号泣作品が多く、かなりファンになってます。
この作品、絶対に探し出して観ますね!
多分一日寝込むほど泣きそうですが・・・
私もこの作品では泣いてしまいました。
個人的には結構セシリアの作品には泣かされてしまうのですが。。。
またあのハスキーボイスで語られるとじんわりきてしまいます。
この映画見ずしてセシリア・チャン語れず・・・と少々大げさだけど、思う作品でした。ほんとよかった。韓国映画という枠を意識しないで見るとよいと思います。人知れずだけどいい作品ってあるしね・・・。
maiさん
生セシリア見てみたいですねえ。映画祭で舞台挨拶とかもするんでしょうね・・・小生いい年こいてますが、ホント見たいw・・・ヨンさまファンのおばちゃんを馬鹿にできない、今日この頃。
セシリア・チャンが韓国の映画に出ていたとは知りませんでした。
なんだかとても切なそうな映画ですね。韓国映画はあまり見たことがないんですがこ作品は良さそうですね。
機会があったら見てみたいです。
そしたら、すごく寂しいです・・・。
なんか、10月に日本で香港映画祭みたいなのやるじゃないですか??それに、セシが来てサイン会やるみたいですね!!
ちなみに、「ラベンダー」はまだ見てないので見てみたいと思います。
私も大泣してしまいました。
本当に良い映画ですよね。
「星願」など観られた事ありますか?
コレも良い映画です。
私のブログへのコメントとトラックバックありがとうございました。
手紙の部分を読んだだけでジーンときました。必ず見てみますね。