30年近く前のことです。
趣味の山歩きで高山の山小屋に疲れた体を横たえていると、
外から優しい澄んだ音色のメロディーが聞こえてきました。
窓から外を見ると隣のテント場で青年が
ひとりオカリナを吹いているのでした。
音色は山々に吸い込まれるように細く高く響き、
山と空は、今沈もうとする夕日に赤く染まり、
その景色を背にテントの横の岩に腰掛け
オカリナを吹く青年の姿は一幅の絵のようでした。
それからしばらくしてご縁があり、60の手習いで
オカリナを始め、20年が経ちました。写真のように
オカリナはドンドン増えましたが、腕前はサッパリ。
このオカリナたちは「ソルジェンテ」という名前で、
わたしが山で聞いた澄んだ音色を奏でてくれます。
製作者であり、わたしのオカリナの恩師である方が
若くして急逝なさったため、幻のオカリナと言われています。
あの時の山の思い出もソルジェンテもわたしの宝物です。