50年以上も前、結婚して初めての8月のお盆休み、
夫の生家に帰った時のことです。
姑が畑から里芋を掘って来て、じゃかいもと一緒に煮てくれました。
とても美味しくて、大勢で食べたのであっという間になくなりました。
それからずっとあとになって、わたしも主婦修業を積み、
食べ物の旬が多少解るようになったとき、はじめて気づきました。
8月は里芋はまだまだ小さく、普通だったら煮物になんかしないのに、
わたしを歓迎してくれるための心のこもった煮物だったのです。
そんなことも気づかぬなんと愚かな嫁。
気づいた時にはもう姑はいませんでした。
毎年、里芋の旬の季節がきて、皮をむくとき、
姑を懐かしく思い出します。
写真の里芋は隣家のご夫婦が家庭菜園で丹精込めて
育てた里芋です。量を増やすため大根も一緒に煮ました。
きっとお義母さんもまだ育っていない小さな里芋の量を
増やすためにじゃがいもを入れて煮てくれたのでしょう。