Offshore wind power generation project off Shirashima Island
<日本野鳥の会北九州支部から出された事業者に対する意見>(要約版)
【2019年11月】事業者が作成した環境影響配慮書に対する意見を提出
Submit written comments on the Environmental Considerations Statement.
「希少な鳥類※が多く生息し、鳥獣保護区(特別保護地区)である白島に極めて近距離であるため、鳥類への影響が大きいと予測され る。 よって事業の見直し、もしくは事業想定区域の大幅な変更を行うこと。
※オオミズナギドリ、カラスバト、ミサゴ、ハチクマ、ハヤブサ、カンムリウミスズメ、ヒメウ、ウミウ、クロサギ
上記希少種以外の夏鳥・冬鳥・旅鳥と呼ばれる種も渡りの途中に白島を利用していることが当支部の過年度調査で確認されており、配慮書の中の「事業想定区域には渡りのルートは見られない」という主張は当たらない。
また、響灘地区の既存の風力発電施設では、実効性ある鳥類への影響低減策(衝突防止策)は全く実施されておらず、この度の事業計画においても期待はできない。白島の鳥類への影響を未然に防ぐためには、白島周辺には風車を建設しないことである。
Best not to build wind turbines in areas where wild birds are affected.
写真上:ハチクマ ⒸS.TASHIRO
春と秋、北九州上空を渡りのコースとして飛翔し、特に9月から10月にかけて、東南アジアに渡って行くハチクマが多い年で1万羽近くが観察される。響灘海域の白島上空も多数のハチクマが渡っている。
写真上:カンムリウミスズメ(公財)日本野鳥の会提供
わが国固有種と言える希少な種であり、繁殖地も少なく、ウミスズメの仲間では今絶滅が最も心配されている。本種は響灘海域を泳いで移動していることがわかっており、この度の洋上風車の建設工事等において影響を受ける可能性がある。
【2020年1月】事業者主催「環境影響評価方法書の住民説明会」で発言しました!
『白島という北九州市の中でも類のない貴重な島嶼地域の自然環境で、鳥類をはじめとする生物多様性に重大な影響を及ぼす可能性がある計画が出されたことに唖然とした。』
『自然環境への配慮はともかく、漁業関係者と海上保安庁との協議を優先し、事業想定区域を決めたこと。これは環境アセスをないがしろにするものであり、鳥類への影響に対して無配慮の計画である。』No consideration of impact on wild birds.
『2019年11月に行われた北九州市環境影響評価審査会において、審査会委員から「漁業関係者の同意を得れば済むという問題ではない」という発言を真摯に受け止めているのか。』
『環境影響評価方法書については、調査回数がとんでもなく少ないので、鳥類の生息実態が十分に把握できるわけがない。』
『わが国では洋上風力発電が鳥類に与える影響の知見が乏しく、影響を回避する有効な対策が国内では実施されていないにもかかわらず、「鳥類への影響は小さいと予測する」の結論に向けた事業ありきの環境アセス軽視と言える。』
『鳥類の衝突実態とかけ離れた机上の計算で、予測衝突数がわずかであることを印象づけているのは問題。』
『鳥類に配慮する気持ちが少しでもあるならば、勇気ある英断として、事業の見直し、もしくは事業想定区域以外への大幅な変更をするべき。それが野生生物と風力発電との共存に近づくはずだ。』
【2020年1月末】事業者作成の環境影響評価方法書に対して野鳥の会北九州支部からの意見書提出
この度の方法書では、不十分な調査方法、不適切な認識があるため、白島の鳥類の実態を把握することは不可能である。また貴社の判断によって海外における先進的な調査方法で綿密な調査を行えば、ますます鳥類への重大な影響を認識することになる。そのため、早々の事業計画の見直し、もしくは大幅な事業実施想定区域の変更を改めて求める。
<日本野鳥の会北九州支部から福岡県と北九州市へ要望書を提出>(要約版)
Submitted a written request to the Governor of Fukuoka Prefecture and the Mayor of Kitakyushu City.
【2020年4月】福岡県知事へ要望書を提出
この度の事業計画は、鳥獣保護区(特別保護地区)である白島を直接開発する(森林伐採や土地の改変)ものではありませんが、計画における海域の事業実施区域は、白島に生息する希少な鳥類について配慮した計画ではなく、計画が実現すれば鳥類が大きな影響を受け、白島鳥獣保護区の価値が損なわれるおそれがあります。
よって、県知事におかれましては、鳥獣保護区の管理者として、白島に生息する鳥類の重要性を改めて事業者に伝え、鳥類に影響が及ばないよう、事業者に対し御助言をお願いする次第です。
【2020年7月】北九州市長へ要望書を提出
若松区沖に位置する白島は石油備蓄基地である一方、北九州市内では稀な島嶼地域における特有の生物多様性に富んでいます。北九州市は生物多様性を大事にすることを環境施策として掲げておりますが、この度の事業実施区域はこの白島の生物多様性について配慮した計画ではなく、計画が実現すれば希少な鳥類の衝突死や生息放棄などの重大な影響が発生し、白島の生物多様性が揺らぐおそれが十分にあります。
よって、市長におかれましては「地域エネルギー拠点化推進事業」と同時に、北九州市内でも貴重な白島の生物多様性を守るため、事業者に対して生息する希少な鳥類の重要性を改めて伝え、その配慮についてこれまでの市長意見より一歩踏み込んだ事業者への御助言をお願いする次第です。
We want wind power to be wild birds friendly.
Association to protect wild birds from wind power
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