『檸檬』の主人公は、現代でも、当時でも「多くの問題を抱えて未来もない駄目な男」のレッテルを貼られるであろう。
彼は、いかにして自己を肯定しているのであろうか??
私の解釈は、彼が、外的(社会的)な評価よりも内的な評価が在る≒自己の裡に強固な内的世界を持っているから、だ。
さらに着目したいのは、彼が彼自身の考える「美しいもの≒芸術」と一貫して関わることで、外的評価に囚われない自己を完成させている点である。
彼は外的な社会規範から離脱(解脱?)し、「純粋経験」をしているようにすらみえる。
『檸檬』が発表されたのは1924年。人も物も情報も容易に海を超えられなかった時代だ。