オッペンハイマーは、
原爆を作ってしまった後悔を
「物理学者たちは罪を知ってしまった。
このことは消し去ることの出来ない知識である」
と表現した。
オッペンハイマーの表現を借りるなら、
他の学問もだが、特に
「心理学もまた罪を知ってしまった」
と、私は、思う。
心を操る武器で、政治闘争に手を貸したから、である。
言い換えれば、
心理学は、人間の尊厳や民主主義を残酷におとしめる政治プロパガンダのために用いられたからである。
かつて、ゲッベルスは、
「議論は単純明快で説得力があり、知性でなく、感情や本能に訴えかけるものでなければならない。
真実は、重要ではなく、駆け引きと心理作戦に完全に従属している。」
、と、発言した。
消費者向けの広告用に開発された手法は、政治プロパガンダという残酷な世界で大きな力を発揮していたようだ。
ゲッベルスのこの発言に
「PR(広報活動)の父」であるバーネイズは衝撃を受けたようだ。
実際、バーネイズは
「ゲッベルスは、私の著書『世論の結晶化』を根拠として活用し、
ドイツにいるユダヤ人に対して破壊的な行動を行った。
私はそれを知って衝撃を受けた」
と述べている。
バーネイズとほぼ同時期に、
ジョン・ワトソンもまた、
心理学理論を
広告という金の卵を生む鵞鳥に変え、大富豪となった。
私たちは(少なくとも私は)、現在(2023年)、日本において、まだ「コーヒーブレイク」
という言葉やそれが意味する行動を理解している。
ワトソンこそ、「コーヒーブレイク」というものを考案し、マクスウェルハウスのコーヒーを売り込むことに成功した、その人である。
ワトソンは、パブロフの研究にある、犬の条件付けを人間に拡大して解釈し、
自覚した意識を回避して、潜在意識に働きかける手法に拠って、人間の行動に大きな影響を及ぼすことが出来ること、
に、気付いた。
彼はこの手法を
「行動主義」と呼んだ。
ワトソンは行動心理学と現代広告、双方の父として、
大量消費主義に科学的な手法を取り入れたのである。
心理学も使われ方ひとつで、持つ意味が変わってしまう。
他の学問もそうであろう。
とりあえず、でよいから、まず、
なすべきことに関する見解を示すことなく、敵対する相手の政策や、特に、人格を攻撃するような政治プロパガンダが減ってゆくことを、願ってやまない。
ここまで、読んでくださり、ありがとうございます。
寒暖差が激しいですね。
体調管理が大変です。
今日も、頑張りすぎず、頑張りたいですね
では、また、次回。
また、行動主義は、マウス・ラットなど動物を使った実験に、力点。
人間への応用例としては、ADHDや乳幼児のように、意思疎通に難のある方々が、主。
そして、広告の技術は、行動主義だけでは成り立たない程、奥深い。
ちなみに、コーヒーブレイクの学問的な源流は、(英国の)A.F. Stanley Kentによる労働生産性に関する研究。Fayolらの経営管理工学の延長線上に位置付けられるべき研究です。
助言ありがとうございます。