もうタイトルも忘れたが、蜂蜜色の肌をした女性に恋をし、
養蜂をしながら彼女を求めて旅をする男の話(翻訳小説)
を読んだことと、アカデミー賞のドキュメンタリー賞を
獲った「ハニーランド 永遠の谷」という映画を観た
せいだった。
その頃、偶然、横浜の都市養蜂を取材する仕事があった。
そこで知り合った方が本牧山頂公園で養蜂をやってらして、
よかったら来てみないかと誘ってくださった。
当時、農薬のせいで世界中の蜜蜂が絶滅の危機に
瀕している、ということが話題になっていた。
蜜蜂は蜂蜜ををつくるだけではない。
植物の花粉を媒介して受粉を助ける昆虫として
重要な役目を果たしている。
蜜蜂が絶滅したら地球も絶滅する、という説も
あながち嘘ではないらしい。
蝶や蜜蜂が来るバタフライガーデンを造りたい
と私が思ったのも、そのせいだった。
代表的な蜜蜂として知られているのが西洋蜜蜂と
日本蜜蜂だが、私がこの時、関わったのは西洋蜜蜂。
明治時代に西洋から入ってきた種で、蜜を取るために
「家畜」として人間が改良したものだ。
一般的に販売されている蜂蜜は、西洋蜜蜂の蜜。
一方、日本蜜蜂は日本の在来種。
野生の種で、人間が飼いならすことは難しい。
西洋蜜蜂は特定の花を蜜源にしているが、
日本蜜蜂の蜜源は多種の花。
だからその蜜は複雑で味わい深い。
もちろん高価で、私なんぞの口に入るものではない。
ところがその日本蜜蜂が、老ドラゴンの畑にやってきた!
じつは彼も日本蜜蜂の「蜂飼い」になりたかったらしく、
畑の片隅に巣箱を設置していたのだ。
もう二年ほども前から。
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何年置いておこうと、何個置こうと、日本蜜蜂を誘い込むのは
とても難しいと、私も本など読んで知っていた。
なのにたった一個!
なんの気配もなかったから諦め気味だったのに、
足首を折った私がここへ来る少し前から、蜂が
出入りしていたらしい。
そばに寄ることはできない。
いったん箱に入ったとしても、なにせ自由に野生で
生きる蜜蜂。さよならも言わず、ある日、さっさと出て行ったり、
天敵であるスズメバチやダニにやられて全滅したり、
ということが多いらしい。
私も老ドラゴンも、近くの小高いあたりから
蜂の出入りをそっと見守るだけ。
ああ、今日もいてくれた、と安堵しながら。
大家さんファミリーのりつ子さんが、スズメバチ
対策を教えてくださった。
大きめのペットボトルに酒やら酢やらを混ぜた
液を入れ、スズメバチや蛾が入れるほどの
扉を開けておく。
仕掛けたその日、両方が入っていたのには驚いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/54/b20b7ae3c078ba4b06f564c94c23e2e7.jpg)
当分、足は治らなくて介護保険の要支援2を
受けることになった私には、「蜂飼い」の資格
などない。が、この暑いのに日がな一日、畑作業に
いそしむ老ドラゴンには、その夢をなんとか叶えて
あげたいと切に思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/16/e2daf69f340533bdb0622473ff2cd804.jpg)