Sさんが、横浜へ来てくださった。
彼女が「若い頃のデートコースだった」という
ホテル・ニューグランドでランチして、ぶらぶらと中華街へ。
カナダは華僑の多い国だから、バンクーバーには
もちろんチャイナタウンがある。
規模は大きいが、横浜中華街ほど華やかではないし、
壮麗な廟もなかったように思う。
そこで媽祖廟にご案内して、一緒にお参り。
媽祖様は女神で、航海の安全、安産、家庭の平和などを司る。
中華街へはよく来るが、お参りは私も久しぶり。
住所、氏名、年齢をちゃんと唱え、5カ所にお線香を捧げる。
せっかくだから、おみくじも引いてみた。
じつは過去にも関帝廟や媽祖廟で何度かおみくじを引いた。
でも、良い卦が出たためしがない。かなり悪い卦ばかり。
私は中国の神様と相性が悪いのだろうか。
どうせ今度も駄目だろうと覚悟を決め、それでも
ものは試しとチャレンジ。
「お願いするじゃないよ、尋ねたいことを念じるだからね!」
やり方を、台湾出身だという廟の女性に念押され、
わかりましたと、媽祖様にアドバイスしていただきたいことを心に念じる。
筒を振って、おみくじ棒を一本取り出す。
次に赤い三日月状の神筈を投げる。
片方ずつ、裏と表が出るまでやりなおす。
これまではやりなおしが多かったが、この日は
1回目でオーケー。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/55/18dc55a4f26b38e49def7b6d7386ac47.jpg)
おみくじナンバーは4番。
廟の女性がそれを受け取り、解説してくれる。
彼女は解説書を開くなり、
「あなた、すごくいいよ、これ!」
すでに家の中には福があり、このままで
なんにも不足はないという。
うわあ、初めて出た良い卦!
嬉しいなあ、と喜んだのだが、最後の一言で考え込んでしまった。
「福は家の中にあるし、病気は治るし、家族は仲良しだし、
転居もうまくいくよ!」
転居……。
数年前から、横浜を出てどこか別のところで、
ひっそり晴耕雨読(晴耕は無理かもれないけど)の余生を
おくりたいなと夢見ていた。
年々、体力も知力も衰え、元気の良い都会には
もうついていけないと感じていたから。
どこかへ旅行するたびに、ここはどうだろうと見回し、
地方に住んでいる人に話を聞き、いろんな本も読んだ。
しかしここぞという地が見つからないまま、いまに至っている。
じつは、媽祖さまにアドバイスをお願いした内容は
「このまま横浜にいるか、それとももっと真剣に、他所への
転居を考えるべきか」ということだった。
出た卦の最初の部分を聞いた時には、「そうか、このまま
でいいのかな。年を取ると都会の方が便利でいいというし」
と納得した。
けど、「転居もうまくいく」と言われると……。
え~っ、よけい迷うじゃないですか!
わたしゃ、どうすればいいのか。
初めて良い卦が出たと喜んだのに、結局は混乱させるなんて
中国の神様は、相変わらず私に意地悪だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/e1/cf6829ea702b161e5b15c9c1a7120c00.jpg)