ヨコスカうわまちICUダイアリー

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ICUベッドサイド回診を効果的に行うために Part 1: サインアウト用紙の活用

2019-10-01 21:25:26 | 日記
ICU回診には大きくカルテ回診とベッドサイド回診があり、それぞれ長所と短所があることは前回記事で述べました。

ベッドサイド回診は、患者診察と担当看護師の参加が容易であるのが長所である一方、多職種の参加や検査結果の共有がやや困難かつ回診時間も長いところが欠点です。

これらベッドサイド回診の欠点を補うコツとして、本日は“サインアウト用紙の活用”についてご紹介したいと思います。

当たり前のことですが、医療スタッフ間で予め患者の情報共有ができていなければ情報は錯綜し、ベッドサイド回診の時間も大幅に延長します。

そこで、我々が新たに導入したのがサインアウト用紙(図を参照)です。

これは、米国の臨床でICUに限らず様々な部署で用いられているもので、名前の通り患者の申し送りシートと呼ばれています。

チーム制やシフト制が進んでいる米国では、主治医制が主流の我が国と異なり各患者への医師の思い入れはそれほど強くありません。

その代わり、医療費が高いことから多くの検査や治療を短期間で効率的に行わなければならず、患者の的確な申し送りは非常に重要です。

そのため、サインアウト用紙には初めて担当する医師でも次に何をすればよいかを分かりやすくシンプルかつコンパクトにまとめられています。

サインアウト用紙のスタイルは各施設や各科で多少のバラツキはありましたが、一般的にICU患者では患者毎に1ページ、内科では3~5名の患者毎に1ページでまとめられていました。

このサインアウト用紙、良いところは一度作成されると次の人は改めて始めからカルテを見直す必要がなくなり、漏れていたり誤っている情報に限って追加修正することでその内容がどんどん洗練されてゆくことです。

また、このサインアウト用紙は医師だけでなくコメディカルも共有することができます。

受け持ち患者が現在どのような診療をされているのか、普段なかなか医師へ聞きづらいコメディカルにとっても、このサインアウト用紙を用いればその内容を理解する上で大きな参考となります。

ただ、サインアウト用紙はよくはまとまっているものの所詮は人が作成したものであること、つまり書かれている内容が必ずしもいつも正しい情報ではないことを銘記しなくてはいけません。

書かれている内容に少しでも疑問を抱いたら、患者やバイタルサイン、検査結果などを実際に自分の目で確かめる必要があります。

また、サインアウト用紙に書かれている多くの内容は個人情報であり、紛失や漏洩などに細心の注意を払わなくてはいけません。

以上を踏まえた上で、サインアウト用紙の良さを最大限活用することをお勧めします。

我々の施設では、電子カルテに付随する部門共有のフォルダへExcel(各シートに各患者)で作成した患者リストを毎日更新しており、このリストは電子カルテの入っているどのコンピューターからもアクセス可能になっています。



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