居眠りバクの音楽回想

チェンバリスト井上裕子の音楽エッセイブログ。

Orchica

2010-12-18 00:01:23 | 楽器


Carl Leopold Rollingによって発明されたOrphicaという楽器。
ローマの楽器博物館で見ました。

いわば、ポータブルピアノのようなものです。

18世紀ころに作られ、現存するのは30台ほどだそうです。

You tubeにこの写真よりは大きなものですが、音色が聞ける画像があります。

おもちゃのピアノのようなかわいらしい音色でした。

Lira da braccio

2010-12-16 00:03:12 | 楽器


フォルテピアノフェスティバルの一画で展示されていた
Lira da braccio と Lira da gamba.



バチカン美術館のラファエロの描いた「Parnaso」
ムーサ達に囲まれたアポロンが弾いています。

音色↓
You tube より dance 'Spero'

15~16世紀、イタリアでは吟遊詩人たちによって使用され
歌の伴奏や、即興での演奏が行われていたようです。

楽器が大きくて、肩が凝りそうですね(笑)




ウィーン式

2010-11-24 00:14:08 | 楽器


久々に、フォルテピアノを試奏する機会に恵まれました。
未完成ではありましたが、良い楽器でした。
モデルはAnton Walter。
何年のモデルか聞きそびれましたが、ワルターが楽器のモデルチェンジをした
1790年以降のものだと思います。

ワルターのピアノはウィーン式アクション(Prellmechanik)で、
現在、イギリス式アクション(Stoßzungenmechanik)に淘汰されてしまったモダンピアノとはかなり異なるものです。

タッチは非常に繊細で、よりチェンバロに近いといえます。
そのデリケートな表現力は、同じ時代に生きた作曲家や理論家達にも絶賛されていました。

例えば、フンメルの「ピアノ奏法の理論と実践法(Ausfuhrliche theoretisch-practische Anweisung zum Piano-forte 1828)」にはウィーン式アクションの素晴らしさを絶賛する項目があります。



© Yomiuri Nippon Symphony Orchestra / DMC Institute, Keio University

2. ・・・~ピアノには2種類のアクションが存在する。一つは、ウイーン式アクションの大変演奏しやすいもの。もう一つはイギリス式アクションで、こちらは弾きにくいものだ。

3.・・・・~ウイーン式アクションはどんなに小さく、繊細な手でも弾くことができる。ウイーン式アクションであれば、演奏者はあらゆるなニュアンスでの演奏が可能で、敏感に、そして明確に音を出すことができるだろう。
フルートのような豊かな音色は、大きな会場でのオーケストラの伴奏でも良く引き立つ。そして、弾くことに気を取られるあまり、音楽の流れを壊してしまう、というようなこともないであろう。さらに、この楽器は耐久性もあり、価格もイギリス式アクションの物より半分の値段で売られている・・・・~~~(ピアノのタッチ、イギリス式とドイツ式の対比~より抜粋)

彼は、その表現力と繊細さにおいて、ウィーン式アクションを絶賛しています。

モーツアルトやベートーヴェンに代表される古典派の音楽が求めていたものを
解き明かす鍵は、楽器そのもの、そして彼らの言葉の中に
数多く潜んでいると思います。