陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

『魔法少女リリカルなのはStrikerS The Comics』 第二巻

2008-05-25 | 感想・二次創作──魔法少女リリカルなのは


リリカルマジカルごきげんよう。
なんと懐かしい響きでしょう。
ひさびさのアニメ更新です。拙所の成分の八〇パーセントが百合萌え要素(別名・ひめちか分)でできあがっていることをすっかり忘れておりました。であんまり長いこと観てなかったものだから、うっかりキャラの名前を思い出せなくってしまいました。世界史が苦手なので、カタカナの人物名って頭にはいりにくいです。

本日使用するテキストは『魔法少女リリカルなのはStrikerS The Comics』 第二巻(ノラコミックス、学習研究社、〇八年三月二十八日発行)です。『メガミマガジン』誌〇七年八月号から〇八年二月号掲載ぶんを収録。皆さん、もうお買い求めですよね?
ちなみに定期的に届くセブンアンドワイの売れ筋ランキングによると、このコミックス発売第一週目で一位を獲得していました。セブンアンドワイは楽天やアマゾンみたいにポイントはつかないのですが、コンビニ受け取りで手数料いらずなので重宝してます。なぜか私の居住区にはやたらとセブンが多いもので(笑)

四月のうそ記事(笑)でおもいっきりイチャモンつけた表紙絵でしたが、実物を手にしますとさほど気になりませんでした。アマゾンの商品画像って最近画質を落しているのかもしれませんね。関係ないですが、ネットショップの本ってたいがい表紙ばかり平面的で、じっさい手にとるとどういう形態してるのがわかりづらいです。基本的には本は中身を調べてから選びたい。しかし本屋に通う時間がなかったり、新刊を返品されていたりすと頼らざるをえないんですよね。
(といいつつ、私のデジカメで撮った画像も画質がよくありません。補正をかけたのですがこれ以上やると線がキツく見えてしまうので無理でした。あまり鮮明に再現しても、権利団体に叱られそうなので(汗))

表紙絵ですが、スバルの輪郭が黄色く縁取られていたり、スポーティな動作であったりするのは、さすがは男性絵描きさんなのです。が、しかしですね。なのはさんの微妙な猫くちびる笑いはいかがしたものか?アニメ三期の高町教導官は、こんな笑い方なさったのでしょうか?

さて、お手元のコミックス。表紙を開いて右手側、折り返し部分に人相の悪い作者コンビ(失礼)がいらっしゃいますが、そこは軽くスルーです。扉絵にフェイトちゃんがいます。木漏れ日の下、やさしい眼差しで座り込むフェイトちゃん。いいですね。いいですね。すごくいい表情です。これはぜひとも実物をとくとご覧になってくださいましね。そういえば、一巻も表紙絵より巻頭カラーのほうができがよかったです(よけいなこと言うな)
が、しかし。しかしです。やっぱしです。フェイトちゃんのお膝元には、ふたりのお子様のすこやかな寝顔がありました。もちろん、ヴィヴィオさんではございません。例の髪の毛がピンクの小娘とレッドの小僧で、タイムレンジャー(ネタが古いです)なみにくっついたラブラブカップルです。


本日の叫び その1
酷いわ、酷いわッ!
フェイトちゃん!

嫁(なのはさん)と愛娘(ヴィヴィオさん)をほっといて、連れ子にかまっているなんてッ!


エリオとキャロ。百合アニメですが、例外的に認められているノーマルカップルです。あくまで例外ですから、巻頭カラーなんぞに登場しては行けません(酷ッ)凡人代表のティアナさんですら、凡人の品格をまもって表紙を飾ってなどいないというのに。わたくし、ここで殺意を覚えてしまいました。あ、もちろん赤毛のほうです。私は彼にこう宣告します。


本日の叫び その2
フェイトちゃんの膝枕は、
あたしのものだ!!
(殴)
管理人はすこしアタマ冷やそうか…?




で、じっさい、この表紙からいや~な予感がしました。長谷川先生の意気込みが垣間見えるようです、ウフフ。
この二巻の内容をかいつまんで申し上げますと。
エリオくんの ひどい 
でしゃばりっぷり
なんです。
きっと、彼はThe 淫獣二世。
どこぞの司書長なみに無限地獄に送り込みたい候補第二号です(酷ッ)アニメの最終回でのフェイトちゃんを〇〇〇する(表現がアヤしすぎます)片鱗がもうここから見えてきてしまいました。たとえば、彼の過去話だけやたらとていねいに扱っていたり。変身シーンで大神ソウマなみに気合いの入った脱ぎっぷりだったり。キャロとの馴れ初めがやたらとよそよそしかったり。女ハーレムのなかで健気にがんばる男の子のポジション。果たして彼にこんな栄光をあたえてもよいものでしょうか、はげしく疑問です。
もしかしたら、これも、なのはママからフェイトママを引き離したい黒ヴィヴィオさんの策略なのかもしれません(ありえない)

驚いたことに、一巻であれだけ密度の濃いつくりこみをしていたにも関わらず、二巻では歯抜きのように話が展開していってしまうのです。たしかに『A's』のコミックスもそうでしたが、ダイジェスト版みたいな感じ。ユリミテ様のブログによれば、同時発売の二次創作アンソロジーのほうが、外伝的な話は充実していたとのことでした。

戦闘機人たちも性格が突拍子もなく明るいノリで。アニメ本編にあった緊迫感があまり感じられなかったですね。おいーっすってあいさつする小人の曹長も、なんなの?(いかりや長介かい)

でもepisode10の表紙の、なのはさんに甘えるヴィヴィオさんはよかった。ちなみに、この巻でいちばんおもしろかったのが、この話。雑誌『メガミマガジン』掲載時に、放映終了直後で気になっていたので買って読んでみて、続きが気になったので、今回購入してみた次第。
なにげない会話のほころびから、機動六課で最強の魔導師は誰かという論戦がひらかれる。意外なことにトップクラスのはやて部隊長は、接近戦ではキャロにも劣るとのこと。スバルは憧れのなのは隊長の揺るぎない優位を主張したいために、戦闘記録データをあさっていたところ、そこにご当人が登場。なのはさんは、スバルにこんな問題をだします。いわく「自分より強い相手に勝つためには、自分より相手の方が強くないといけない」この言葉には矛盾があると。
この答え、私は単純にメンタリティーとフォース(戦闘力)の兼ね合いのことだと考えていたのですが。ここで明かされた解答は、納得のいくものでした。すなわち、なのは達、教育側は教え子たちの強みを見極めて伸ばすことに長けていたということですね。これがじっさいに証明されたのが、アニメ第三シリーズの最終話。なのは達はヴィヴィオをくいとめ、聖王のゆりかごの稼動を止めることに成功しますがそこで体力を使い果たしてしまう。魔法を弾くシールドがはりめぐらされた戦場で、彼女たちを救ったのは、ティアナのバイクと(ATフィールドに影響されない機人の)スバルの拳でした。ティアナは足を怪我していたし、バイクは借り物ですから、いってみれば機動六課全員がなんらかのかたちで、最終戦線に寄与していたことになります。その力は、魔導師ランクとは関係ないものです。

このエピソードを聞いて、EtF様のブログにあった「なのはシリーズで訴えているのは魔法の戦闘力ではない強さ」という指摘を思い起こしました。いわゆるバトルファンタジーが、主人公の成長につれて無限に拡大する力のつり上げを否定するために、あえて導入される反概念でもありますが。どんなに強靭な能力者でも、等身大の、あるいは自分よりも弱いとされる人間に助けられてしまう原理。「神無月の巫女」でいえば、オロチロボは倒せないが千歌音の想いだけは救えた姫子がこれにあたるのかもしれません。アニメやゲームの世界で図られる個人のスペックはありえないものですが、創作者が伝えたいことは、まさに自身の身の丈にあった強さをたいせつにしようということなのでしょう。ひとにはそれぞれ役割のちからがあるのです。
私たちは、誰かとくらべて劣っているからといって落ち込んだり、また逆に優れているからといってうぬぼれてもいけないということです。意味もなく他人に張り合おうとして競ったりするくらいなら、時分の長所を生かす努力をしたほうがいいということなのでしょう。

『魔法少女リリカルなのは』シリーズ第三期は、一期、二期にくらべれば不満が募ると囁かれもしましたが、私としては単に百合作品としてだけではなく、いろいろ社会的テーマを背負って考えさせられるところが大きかった物語でした。
魔導師としての学校教育をうけたわけではないなのは達が、師弟をもつことのふしぎ。キャリア志向女性と母性愛、姉妹愛。お兄ちゃん向けアニメといわれていましたが、じっさい、原作者の都築氏は女性(ですよね?)としての感覚を生かしてつくりこんだのではないかしらと思います。

三巻ぐらい続いて、アニメとは違った展開をみせてくれることを期待していただけに残念な終わり方だったのですが、アニメやドラマCDのSS04と補完して読めばじゅうぶん楽しめる内容です。
しかし、長谷川先生のラストカット、あれはないでしょう。これでこのシリーズもう出ないんだったら、泣きます。第四期のうわさはどうなんでしょうね?
にしてもこのアニメ、上記のおふたかたもおっしゃってましたが、販促キャンペーンがすばらしく、「コードギアス」にならぶ昨年のヒット作だったとのこと。夕方六時台にぜひともTVシリーズでカムバックしてくれとはいわないまでも、OVAあたりで続きを観たいものですね。ドラマCDでもオッケー。(それをいったら「神無月の巫女」もそうなんですけれどね)

最後に都筑先生のお言葉を引用しておきましょう。

「またね」がきっとありますように──。



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