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陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「マレフィセント」

2016-07-09 | 映画──ファンタジー・コメディ
なぜか最近、金曜日が土曜日に思えておもえて仕方がない今日この頃です。
梅雨明けしてるはずなのに、台風到来で大雨警報出るくらいのどしゃ降りとか、まだ七月なのにもう室内気温で30度超えてしまったとか、もう、いろいろ日本列島もヒートアップ。少し前には、バングラディッシュですさまじいテロも起きたり、事件も続くいっぽうで、景気はやや冷え込み、選挙戦も盛り上がらないといった現在。

さて、最近はあまりテレビでも劇場でも映画を観る機会がついぞなかったのですが、ひさびさにテレビ視聴。本日七月八日の金曜ロードショーは、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ製作の実写映画「マレフィセント」。いや、このタイトルだけですと、なんの映画か分かりませんよね。といいますか、このタイトル、三秒で忘れそうな。カタカナ憶えるのが苦手な管理人にとっては。

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あの「アナと雪の女王」が大ヒットしたあの2014年公開、主演は肉体派アクション女優のアンジェリーナ・ジョリー。で、このアンジーが、お姫さまにもなり、魔女にもなるというお話。原作は、童話「眠りの森の美女」。

平和で美しい自然豊かな妖精の国へ、侵攻しはじめた人間界の王。
荊の巨人たちを従えて君臨する妖精界の女王マレフィセントは無敵。重傷を負わされた王は、マレフィセントを討ち取った者に王女と結婚させ、譲位すると宣言。そして、従者であったステファン青年は、マレフィセントの両翼を奪い取り、まんまと次期国王に。その数年後、国王夫妻のご息女オーロラ姫の生誕パーティーが催されますが、そこ現れたのは、魔女然としたあのマレフィセントだったのです。

マレフィセントは、オーロラ姫に「この娘はすべての者に愛される。が、16歳を迎えた日に糸車の紬に指を刺して永遠の眠りにつく」という、呪いをかけてしまいます。ふつうに知っている童話「眠りの森の美女」のはじまりは、ここからですよね? 王様が呪いを怖れて、国中の糸車を処分してしまうのだけど、けっきょく眠りについてしまったお姫さま。しかし、目覚めさせたのは王子様…のはず。

ところが、どっこい。
このあとから、仰天とんでもサイドストーリーのはじまりです。魔女の呪いを逃れるために森で隠れて育てられる予定のオーロラちゃんでしたが、ベビーシッター役の妖精トリオがことごとく無能っぷり。オーロラちゃんがなんども生命の危機にさらされるのですが、それを陰ながら救ったのは、な、なんとマレフィセントでした! マレフィセントにとっては、国王は実は初恋の相手なのに裏切られた男。それがよその女とのあいだにできた娘なのだから、そりゃもう憎くて仕方がないはずですが、オーロラちゃんの天使のような笑顔にほだされてしまいます。どこかで既視感があるなと思いましたら、あれですね、ドラゴンボールのサイヤ人編で、泣き虫悟飯を戦闘教育ほどこした頃のピッコロさんですね。

そんなこんなで月日は経って、十六歳直前に成長したオーロラ。
マレフィセントを母親のように慕い懐いてくるわけで、マレフィセント自身もおのれの呪いを解こうと躍起になるのですが、できない。呪いを解くのは、真実の愛のあるキスのみ。ちょうど頃合いに、さすらいのどこぞの王子様フィリップが訪れます。しかし、呪いの張本人が誰かを知ってしまったオーロラは、父王のもとへ向かい、そこで予告通りに眠りに陥ってしまい…。

で、本作のキモはですね、なんといっても、このオーロラ姫の呪いを解く相手は誰なのかということでした。これ、劇場でなんらの前知識ないままご覧になった方はもうびっくりですね(笑)。「アナと雪の女王」でもそうですけど、最近は「少女革命ウテナ」ばりに、王子様は不要論みたいな空気が蔓延してしまっているのか。王子様とお姫さまでなくて、もういまは、女王様と従者でなくてはいけないのか…というやや尖った見方もできますが、本作が訴えたかったのは、なにをさておき、一時の絶望に駆られて愚かなふるまいをすると、いずれ愛する者にも災いが及ぶという戒めだったのでしょう。それにしても、あの王様たしかに酷すぎる人でしたけど、それに恋したのは主人公なのだからして、ちょっとぐらい改心のチャンスもあってもよかったのでは、と思うのですが…(笑)。この国王にだって、野心にほだされていくあいだにも、諸事情があったはずなのですが…。

それにしても、見事なくらいにお伽噺が改変されまくってるわけですが、そのうち、ロリコンの善良なお兄さんだったはずの「赤ずきんちゃん」の狼とか、お菓子屋さんを夢見て挫折し、地上げ屋に借金のカタにされた家に引きこもってしまったお姉さんの慣れの果てが「ヘンゼルとグレーテル」の魔女だったりとか、現代風萌えに改悪される童話が続出するんでしょうかねえ(無責任発言)。

キマシタワーという歓声が一部の愛好者から聞こえそうなシーンで話題となった模様ですが、個人的には、オーロラ姫が慕ってきた理由というのが、実父と同じでいわゆる強者へのリスペクトもあったのかな、という気がしないでもないですし、マレフィセントが姫に注いだ愛情というのも、己の手落ちのせいで不具にしてしまった我が子への後ろめたさとも言えなくもないですよね。けっきょく、呪いの眠りから目覚めただけで、妖精と人間との二つの王国の女王になってしまったオーロラ姫がいちばんおいしいポジションですよね(爆)。行きずりの王子様がむりやりキスさせられそうになっているシーン、笑えます。

なお、オーロラ姫の赤ん坊時代は、主演のアンジェリーナ・ジョリーの愛娘。他の子役では、恐ろしい魔女の扮装なので泣き出してしまったそう。赤ちゃんて実の母親が分かるものなんですね。


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1959年公開のディズニーアニメ映画「眠れる森の美女」のリメイクなんですが、しかし、ここまで同じ会社の作品をアレンジしてもいいものか(笑)
監督はロバート・ストロンバーグ、脚本はポール・ディニ、リンダ・ウールヴァートン。共演は、シャールト・コプリー、エル・ファニング、サム・ライリー。
本作は大好評につき、キャストがほぼ同じで続編が制作決定されているようです。

(2016年7月8日)




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