陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

アニメ「輪るピングドラム」最終回(一)

2012-01-15 | テレビドラマ・アニメ


最初に真っ平らの地面があって土を被せて山を築きあげていく、ときには人が転ぶような下り坂もあるだろうけど、やはり何かが残っているそんな展開が好きなのだけど、ここ最近は、土を被せていくけれど、その実、見えない穴がわんさか掘られていて、足をとられながら右往左往して、あげく、平らな地面にならされてしまう、そんなストーリーが多いような気がします。もちろん、物語に謎を仕込む場合、それはしばしばすでに与件のものとして存在していることが前提で、振り返らざるをえないわけですけれど、ひょっとしたらミステリーやホラーがやたらと流行るのも世相が寒々しいせいなのでしょうか。

災いは去ってしまうけれど、人物は成長していないのではないか。もう二度と落とし穴に落ちないように、隙き間につっかからないようにテープで塞いだだけで終わったような、そんな感触があったいっぽうで、二度三度と観なおしてみると、するめを噛むように滲みだしてくる旨味もあったことは認めざるを得ないというのが、この半年追いかけてきたアニメ「輪るピングドラム」の最終回──サブタイトル「愛してる」──を観終えたあとの感想です。

最終回で真っ先に理解ができなかったのは、陽毱の命を救うために高倉兄弟が命を差し出したこととと、荻野目苹果が呪文を唱えたこと、この二重の措置によって救済されたこと。日記がなくなりはしたけれど、帽子の桃果本人か、もしくは呪文を知っていた高倉兄弟か、さらにはやはり苹果本人が、と予想されていた方が多かったのでは。しかし、解決手段が入り組んでいるような。

いまもよくわからないので、できごとを順に書き出してみます。書き出しながら、整理できるかもしれません。ネタバレ注意。

(1)晶馬が冠葉、病床の陽毱、眞悧のいる運命列車に乗り込む。
ちなみに周囲にいた黒服が直後どこかに? 眞悧が利己的遺伝子がどーたらとか説教垂れるがあいかわらず意味不明。晶馬、冠葉に「決着をつけよう」と啖呵を切りながら、けっきょく、何もしない。子供時代の二人の謎の監禁シーンが挿入。ちなみにここ、イマジンを思い出しますよね。戦争中にオノヨーコが想像で空腹を満たしていたという。

(2)四ッ谷駅から、苹果が乗り込む。
日記を燃やされたが、運命の呪文は知っていると宣言。晶馬が止めようとするが、けっきょく、押し切られる。「僕たちは最初から呪われていたんだ」とネガティブ発言の弟、けっきょく、何もしない。

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(3)陽毱が蘇生。
生存戦略のBGMに乗って、女王様スタイルに。
おそらくここは眞悧の魔法かなにかによってと思われます。ただし、陽毱の精神状態はいつもどおり。ガラスの破片が舞うなか、全身に傷が入るのも構わずに冠葉に近づく。陽毱のお小言(冠葉がだらしないとか、晶馬が母親みたいに口うるさいのが罰とか云々)に触発されて、後を追った晶馬が冠葉に対してぶつくさこぼしてるだけ。そういや、陽毱ちゃん、前回で晶馬に冠葉の説得を託していたのですが、けっきょく、自分からやっちゃいましたね。次兄が頼りないと思ったからでしょうか(酷)

(4)陽毱が冠葉に帰ってきてと説得。
冠葉、陽毱になにも与えていないと拒絶。おそらく、二十二話で陽毱に分け与えた命を戻されたせいかと思われるが、直後、冠葉の体内から花びら(というか、ペンギンのワッペンになっているところがシュール)のような血飛沫が。陽毱が痛みを和らげるために、冠葉を抱擁。しかし、冠葉の苦悶の絶叫+血飛沫をバックにしながら、「家のペンキ塗りが嫌だった etc.」と感動をぶち壊しにする晶馬のあまりにKYなモノローグ(笑)。これって、瀕死の重傷負った人間を救助してる横で、絨毯が汚れるからイヤと眉をひそめてるろくでなしじゃないの?と、ぼやきたきなりますが、ここ、いわゆる反語的な演出なんでしょうかね。シニフィエとシニフィアンの気まぐれな反目、描かれているものと台詞が一致しない、このあまりにも狙ったような不条理なシチュエーションのせいで、混乱に陥ります…。


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