陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

アニメ「美少女戦士セーラームーン Crystal」第五話

2014-09-08 | テレビドラマ・アニメ


アニメ「美少女戦士セーラームーン Crystal」も五話め。
とうとう木星の人、登場の回です。先週放映されなかったので、じつに三週ぶり。作画も安定してましたし、シナリオもまま良かったですよね。ちなみにここまでで原作漫画(初版の単行本版)の第一巻消化となります。

あいもかわらず、冒頭から緊張感がなさすぎる正ヒロイン・月野うさぎ。
しかし、彼女の良さが今回いよいよ発揮されてくる回なのです。

四人目の戦士であるところの、セーラージュピターこと木野まことが転校生としてやってきます。(余談ですがこの人のネーミングって、梶原一騎の『愛と誠』からだったりしないでしょうか? いや、読んだことなくて、小川彌生さんの漫画からの入れ知恵なんですけどね)
男を威圧するほど背が高く、しかも怪力少女と畏怖されている、いわゆる学内では「ぼっち」な彼女なのですが、ゆいいつ、うさぎだけがまことの良さを見抜いてくれます。そして、そんなうさぎの友だち力を認めたのは、真っ先にあたしたちトモダチだよねオーラに落ちてしまった、十番中学ぼっちNo.1の亜美ちゃんだったりするのでした。

あの外見なのですが、まこちゃん、お料理上手、お裁縫上手、意外と女子力高い。
で、うさぎだけは、そんな乙女ちっくな部分を評価するわけですね。外面に惑わされずに人の本質を見抜いてしまう。この木野まことの身に着けている家事力は、幼い頃に両親を亡くし独り暮らし歴が長いがゆえのサバイバル力です。おそらく家庭の愛情にめぐまれなかったので、人一倍、幸せになりたいという願いが強いのが、このまこちゃん。まさに愛欲をコントロールできなかったジュピターことゼウス神の化身なのだといいますか。

この木野まことというキャラは、たしか旧作ではセーラーチーム内ではいつも最下位の人気でした。当時のアニメ雑誌では、他作品を押しのけて、好きなキャラ一位は断トツで水野亜美。広末涼子のような知的聡明さと清純ぽさが男性にもまたインテリ女性(原作者の武内直子先生みたいな)にも受けたのでしょう。ところが、今回の新作では亜美ちゃんって、あんまり目立ちませんよね。雑巾みたいなセーター着せられてますし(←まだ言うか)。美人と評判の高い火野レイもあまり美人に描かれていないように思うし(原作だと人が見ていないところではにこやかに笑う。魔のバス停事件が解決したのに、おじいちゃんだけいまだに神隠し中なんでは…。いま流行りの不明老人なのか(爆))、原作以上に、完全にオトコ嫌いにされています。いくら巫女さんだからって、なんでここまでストイックなんですかね。

で、今回の木星の人。
これは、今でいうなら、かなり女子受けのいい人ですよね。絆を大切にしちゃう俗に言うマイルドヤンキー系。旧作ですと、誰でも彼でも別れたセンパイに似てて惚れちゃうアホの子(酷)扱いされてしまったのですが、今回は失恋しちゃったけど、恋なんかより使命に選ばれてきたの、という意思の強さが明快に見られます。性格もさっぱりしているあたり。この人って、実はあまり言葉の棘がない人で、外側に過度な「女」度を表さない、だからこそ目立たないのですが、ほんとうはこういう人が好かれるんですよね。(いわゆるギャップ萌え)。他人に見下ろされないからあんまり傷つかないって思われてるんですが、じつは結構繊細だったりしますよね。吉田秋生の『櫻の園』という漫画に、背が高いが故に周囲の偏見に苦しむ女子高生の話があったように記憶する。

亜美もレイも、そしてまことも、突出した才能を持ってるので組織からはみ出てしまう人です。そんな疎外感を救ったのが、誰とでも打ち解けちゃうふしぎパワーをもつ主人公。お寝坊さんでぐうたらで食いしんぼで、ひたすら恋愛体質、ノーテンキで、学力も冴えない。なぜか、そんなゆるい主人公なのですが、最後には、みんなのまとめ役をやってよ、とマネージャー役の黒猫から引導を渡されてしまいます。ルナがうさぎに発破をかけたのには、もちろん訳があるのですが…。ひとを争わせないような親和力はありますよね、この子。

さて、お次はいよいよあの戦士かというところで、次回の主役は、なんとタキシード仮面。これも原作通りなんですが、旧作でさんざん変態だとかロリコン仮面とか、不当に不名誉なタグがつけられてしまったせいか、この人がメインで出てくる回ってね、ほんと笑っちゃいます。もっと、漢らしくならないものかな、と。今回は情報提供するだけで、まったく戦わなかったのですが、次回どう動くんでしょうね。あと四天王とセーラー戦士はなにか因縁がありそう?

【美少女戦士セーラームーンシリーズ レヴュー一覧】



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