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1976年の映画「ネットワーク」は、視聴率合戦のなかで運命を左右されるひとりの男、そしてその業界の仕掛人たちを描いた作品。
なかなかおもしろかったです。これがテレビ界の現実だったら、かなり恐いですけど。やらせ報道もあるくらいなんですから、ありえそうですよね。
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落ち目のキャスター、ハワード・ビールは降板を伝えられるやいなや、ヤケになって放送中に自殺騒ぎを流す。ところが、そのスキャンダラスな言動が大受け。ハワードは、過激な言動をするバラエティ番組の司会者として復活、視聴率はうなぎ上りとなるが…。
この番組を仕掛けたのが、やり手の女性編成主任ダイアナ。ハワードに幾許かの人情は寄せる報道部長のマックス。そして、報道局を牛耳ろうとする親会社の社長。それぞれの思惑が入り乱れ、ハワードの言動は視聴率のために、自分をねじ曲げられる。
そして、その最後には…。
この結末はとても笑えないですね。
メディアでとりあげられるスターの虚飾、一時的に宝のように騒がれ、熱さ過ぎれば灰のように忘れ去られてしまうひとりの人間の哀愁を、シニカルに描いています。さらにいえば、系列の親会社に頭があがらない縦社会の構造をも。
ネットワークとは、テレビ局のメディア網のことを指すのみならず、こうした企業によってがんじがらめにされて、とりかえのきく部品のように扱われてしまう人間のつながりのことをほのめかしているのではないでしょうか。
ダイアナ役に、フェイ・ダナウェイ。マックス役にウィリアム・ホールデン。ハワード役にピーター・フィンチ。
監督は、あの卓越した裁判心理劇「十二人の怒れる男」のシドニー・ルメット。
本作は、1976年度アカデミー賞主要4部門 (主演男優賞[ピーター・フィンチ]/主演女優賞[フェイ・ダナウェイ]/助演女優賞[ビアトレス・ストレイト]/脚本賞) を受賞した話題作です。しかし、このテレビ業界の人間の好奇心を煽る手法は、いまや、ユーチューバーやツイッターなどのSNSでも健在なのであって、ひとえにマスコミだけに限りません。人間が組織の生きものである限りは、注目されたい、認知されたいという願いは果てがないのでしょう。
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