陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

給与計算を爆速でやりとげる方法

2025-02-19 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

会社員の皆さん、ご自分の給与が支給日に振りこまれなかったら?
その会社を怨みたくなりますよね? 働く意欲が減りますよね? 賃金支払いの原則は労働基準法にも明記されていますし、労働者と事業主との信頼関係構築のために大事な作業。それを担っているのが、総務人事担当者です。

私が今の勤め先で担っているのが、総務経理、そして若干の営業事務の補助。
メインは労務管理と経理会計。この仕事がしたくて、入社したといっても過言ではありません。本業の個人事業ではひとり事業主で給与支給することはないからです。

給与計算業務は大変ではありますが、慣れるとこれほどやりやすい業務はありません。
なにせひと月ごとに同じ作業を繰り返すからです。給与計算担当者の醍醐味は、従業員全員のお給料を知ってしまうことです。ですから、従業員に対して偏見やえこひいきがなく、かつ、守秘義務が守れる人材でないと務まりません。お金に汚い人もダメです。私の前任者は、なんと、最後の給与から雇用保険料を控除しておらず、会社に損害を与えて去っていきました。こういう自己利益を図るひとは、いくら計算が得意だろうが、そもそもお金を扱う仕事に就いてはいけないのです。

ところで、皆さん、2月のカレンダーをご覧ください。
原則として28日。しかも、天皇誕生日が増えたため祝日が2日あり、ひと月の所定勤務日数が通常月よりも少なくなっています。月給者にとりましては日給換算するとお得、時給者にとりましては月給が減ってしまう。そんな月です。

私は月給者ですけれども、所定勤務日数が少ない月はとかく給与計算が大変です。
年末年始の年末調整が重なる時期、8月の夏休みは賞与計算もあり。さらに2月は決算準備や春の賞与の支給も検討されており、年度替わりの作業もあるので油断ならない。

そんな2月は逃げるの月。なんと今月の給与計算作業は振込指定日の関係上、たった一日で仕上げねばならないことが予想されました。普段の月ならば最低でも二日半はかかります。しかも従業員の給与のみならず、外注費の計算もあります。さらに、今月はイレギュラーなことに急な退職者も出てしまい、給与締め日すぐに手続き書類も必要。そこで私が爆速で給与計算をやりとげるためにとった方法は。

・給与額を先に入力しておく
ふだん、労務管理ソフトで勤務時間を集計し、給与計算ソフトへ入力しています。
月給固定者はともかく、時給者は締め日までは勤務日数、勤務時間がわからないもの。ですが、先に契約時間、前日数出社したものとして、労務管理、および給与計算ソフトに入力しておきました。遅刻や早退、欠勤があったりすれば、そのつどこまめに出勤時間を調整していきます。もちろん最終チェックは怠らずに。

・有休手当、取得日も先
有休休暇の申請は前日まで。ということは給与締め日当日に有給取得する人は前日までに判明します。締日当日には有休手当の総額と、有休取得日数、有給残がわかるので、先に計算しておきます。この作業は給与計算ソフトとは別にエクセルで一覧表を作成しておき照合していきます。

・他部署に協力を求める
外注費は外まわり担当者が納品伝票を回してきて、はじめて計算できます。締日が今月は早まったことを共有し、なるべく早く入手できるようにお願いしました。また納品伝票のミスなど不審点はなるべく迅速に解決してもらえるようにコンタクトをとります。また給与計算時期に頼まれる相談事や書類作成も、「できない」と無下に断るのではなく、やんわりと先延ばししてもらえるようにお願いしてみました。これも普段からのコミュニケーションがものを言いますよね。

・電卓計算をなるべく減らす
勤め先の外注費の計算ソフト、なぜか消費税の四捨五入が正確にできず。いつも手書きで修正していました。これにかなりの時間がとられてしまいます。なので、私はExcelのラウンド関数で小数点以下を四捨五入できるように、計算式を組みました。ネットで調べれば、やり方は簡単に見つかりますね。これで外注者に渡す支払明細書はいつも二日後だったのを、一日で仕上げられるようになりました。

・ミスが許されない給振用紙もエクセルで下書き
金融機関へ提出期限が決まっている給与振込用紙。締切り厳守はもちろん、記入ミスは許されません。私は提出直前になって計算ミスが判明し、急いで取り寄せたり、二重線と訂正印でしのぎましたが、銀行にも多大な迷惑がかかります。個々人の振込額がズレていないか、一枚目ごとの小計と人数があっているか、電卓の手計算では時間がかかります。これもExcelで自動計算できるように表を組みました。

・給与計算業務前に分かるものは先に計算
たとえば、締日までに人員の増減や雇用形態の変更がなければ、原則、社保料や住民税はほぼ毎月同じになりますね。予想できる計算は先に。ちなみに絶対先に分かるものは、役員給与および自分の給与です。締日まで欠勤遅刻早退しないとなれば、皆勤手当で打てばいいだけですから。締日当日に有休や欠勤の届出が出ている人も、その人だけ一日早くに計算できるし、先に給与明細も出力できます。

・普段のやり方を変えてみる
昔のDTPの仕事の癖で、プリントアウトして鉛筆でチェックを入れないと確認した気にならないという癖がありました。これではいちいち手間がかかります。給与計算ソフトでは各個人の給与明細画面を呼び出していたのですが、ある日、各人の基本給、手当、社保料などの控除額が一覧表示される画面から明細画面に飛ぶことができることに気づき。それ以来、一覧画面から一括修正するようになって、かなりスピードアップできました。また、これまでの事務員さんがなぜか前月の有給手当が反映されて困るといった問題も、設定を変更すれば複写されることがなくなりました。思い切って時短になるやり方を工夫するのも必要ですね。こうした発見は、ルーティンワークを楽しくします。

これらの工夫で、この2月は締日翌日の午後3時には給与振込用紙および所得税など納付書も作成。
期限の前日でした。もちろん給与計算のみ集中できたのではなく、そのあいだ、他の作業も同時並行。ほんらい、私はこうしたマルチタスクが苦手でしたが、この会社では鍛えられました。


私は個人事業上の税務申告や経理作業の補助にExcelを活用しましたが。
こうした作業で培ったことが、会社員生活でもかなり活きています。そもそも、これまでの事務員さんがあまりExcelを活用されていなかったことが不思議なのですが。

会社員事務の仕事で学んだことは。
原則的な仕事の流れはあるにはあるが、締切りがある場合はすべてを手順通りにやらずに、時には大胆に作業内容を入れ替えてもいい、ということでした。アレの次はコレと決めつけずに、柔軟に、こまめに先出し先片付けで処理していけば、締切直前に慌てなくて済むのです。

いつも給与計算の時期に、出張者が増えたり、突発的な欠勤が出たり、請求業務や仕入先への支払い、急なお客様の訪問や不要な電話がきたりして、イラついていましたが。だいたい自分の作業にかかる時間を見積もっておけば、あまり動揺することもなくなりました。これも、慣れなんでしょうね。

ただし、問題はあまりにスピードアップを急ぐあまり、見直し作業に手を抜いてあとから修正を迫られることが発生してしまうことです。私はこれまでに給与計算上、有休手当額を間違えたり、有休設定を誤ったりのなんどかミスがあったので、注意しています。こうしたミスはそのつど記録し、原因と対策を分析。絶対に次からは繰り返さないようにしています。

無事に給与明細を支給日に、従業員皆さんに渡せる日は、朝早く出社。
気合を入れて、ねぎらいの言葉がけとともにお渡ししています。その日こそが私の一箇月の苦労が報われる瞬間。自分の給与が振り込まれるの嬉しいですが、皆さんにありがとうと言ってもらえるのが何よりうれしい。この仕事を選んでよかったな、と思える瞬間なのです。

(2023/02/23)

























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