読書の秋ですね。おすすめの本を紹介したところですが、読書感想が下手さを自認していますので、読みっぱなしでレヴューしないことが多いです。レヴュー書くぐらいなら、一冊でも多く読む時間が欲しいのが本音というもの。あと、私の読む本は好き嫌いがかなり激しすぎるきらいがありますので、公開するのにそぐわないとも感じます。著者をぼろくそにこき下ろすこともありますし。
私は大学院生時代に、研究室の書庫の管理係でした。
教授から鍵を預かって、購入した雑誌や研究書を図書館から運んできて配架します。学生をつづけながら、非常勤職ですが某自治体図書館にも何年か勤めていましたので、本にはひときわの愛着があります。大学図書館や研究室には、個人では購入できない稀少本がありますし、それが資産だと思えました。そのいっぽうで、一般人が利用できる町の図書館は、象牙の塔のなかではわからない、世の中の動きを知れる場所でもありました。
ある国立大学の講座ゼミに潜り込んで学ばせてもらううちに、そこの教授に言われたことがあります。「本は一行でも読みたい部分があれば、買うものだ」。大学が独立行政法人化して久しい現況では、研究費も削減傾向ですから、なかなか一行だけの魅力で本を買えるものではないでしょう。
ただ、このお言葉は真理を衝いてもいるのです。
頁をひらいたある部分だけでなくともいい。本には並べておくだけで、背表紙のタイトルが目に入りますね。それが、生きるための刺激になったりもする。ベストセラーになる本は、この背表紙の効果をよく意識しています。たとえば、よくある健康本で「××になりたければ、○○しなさい」。有名予備校講師の林修さんの「いつやるか? 今でしょ!」は流行語大賞にもなりましたが、そのまんまのタイトルの本も出していますね。
こういう、読者のこごった欲望をさらうタイトル、コップの底からざらっと掻きたてて透明な水にしてくれるような、さっぱりタイトルの本は、いわば壁に掛けられた標語のようなものです。中身を読まなくとも、並べて、その背表紙を眺めているだけで背筋を伸ばしたくなるんですね。その背表紙を押すと、自分のやる気スイッチが入る。スマホで電子書籍が手軽に読める時代ですが、この背表紙効果だけは現物の本でないとできません。
また、これから勉強したいなと思う本は、寝かせておくのでなく、立てて並べておくのをお勧めします。私は将来的にしたいなと願った仕事や、身に着けたいスキルや知識、資格があって、よくわからないままなんとなく買い集めてきたのですが、数年後にそれが奏功したのか、やりたい仕事が回ってきて歓喜したことがあります。ただ、本を読んだだけで実務能力がないとできない仕事もありますが、ひとに教わるだけでは仕事の幅が広がらないし、かえって狭い会社のなかでしか通じないこともありえますよね。
あなたの本棚は、あなたの向かう先を教えてくれる道しるべになるのですね。
読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。
私は大学院生時代に、研究室の書庫の管理係でした。
教授から鍵を預かって、購入した雑誌や研究書を図書館から運んできて配架します。学生をつづけながら、非常勤職ですが某自治体図書館にも何年か勤めていましたので、本にはひときわの愛着があります。大学図書館や研究室には、個人では購入できない稀少本がありますし、それが資産だと思えました。そのいっぽうで、一般人が利用できる町の図書館は、象牙の塔のなかではわからない、世の中の動きを知れる場所でもありました。
ある国立大学の講座ゼミに潜り込んで学ばせてもらううちに、そこの教授に言われたことがあります。「本は一行でも読みたい部分があれば、買うものだ」。大学が独立行政法人化して久しい現況では、研究費も削減傾向ですから、なかなか一行だけの魅力で本を買えるものではないでしょう。
ただ、このお言葉は真理を衝いてもいるのです。
頁をひらいたある部分だけでなくともいい。本には並べておくだけで、背表紙のタイトルが目に入りますね。それが、生きるための刺激になったりもする。ベストセラーになる本は、この背表紙の効果をよく意識しています。たとえば、よくある健康本で「××になりたければ、○○しなさい」。有名予備校講師の林修さんの「いつやるか? 今でしょ!」は流行語大賞にもなりましたが、そのまんまのタイトルの本も出していますね。
こういう、読者のこごった欲望をさらうタイトル、コップの底からざらっと掻きたてて透明な水にしてくれるような、さっぱりタイトルの本は、いわば壁に掛けられた標語のようなものです。中身を読まなくとも、並べて、その背表紙を眺めているだけで背筋を伸ばしたくなるんですね。その背表紙を押すと、自分のやる気スイッチが入る。スマホで電子書籍が手軽に読める時代ですが、この背表紙効果だけは現物の本でないとできません。
また、これから勉強したいなと思う本は、寝かせておくのでなく、立てて並べておくのをお勧めします。私は将来的にしたいなと願った仕事や、身に着けたいスキルや知識、資格があって、よくわからないままなんとなく買い集めてきたのですが、数年後にそれが奏功したのか、やりたい仕事が回ってきて歓喜したことがあります。ただ、本を読んだだけで実務能力がないとできない仕事もありますが、ひとに教わるだけでは仕事の幅が広がらないし、かえって狭い会社のなかでしか通じないこともありえますよね。
あなたの本棚は、あなたの向かう先を教えてくれる道しるべになるのですね。
読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。