何気なく観ていたらハマってしまうドラマってあるもので。
「ドラゴン桜2」は、言わずと知れた同名の受験漫画を原作とする、人気の実写ドラマ続編。前作は2005年放映。阿部寛主演のカリスマ弁護士・桜木健二が、落ちこぼれの高校生を東大合格へと導く。昔から教師ものと言いましたら、熱血だけど風変わりなキャリアを持つといった主人公が多いけれど、このドラマの特徴は、実際の受験生に役立ちそうな勉強術が学べることですね。
ある経営難の私立学園再生のために、前理事長からの依頼で臨時講師になる桜木と、元教え子の東大卒女性弁護士の水野。
進学校化を嫌い自由な教育を旨とする現女性理事長と対立するも、東大合格者五人以上を出せば退任に追い込める。顧問コンサルとなって、桜木の法律事務所が抱える借金も帳消しに。しかし、その裏では学園の存亡を揺るがす陰謀が進んでいた…。
この桜木先生、前作でも東大合格の実績により声望高まったはずが、ある教え子の起こした自傷事件により再起不能になっていました。
その桜木をなんとか引っ張り出して、今回の仕事に就かせたのがかつての教え子女生徒・水野なのでした。
今回の教え子たちもなかなか癖があって、けれど、各自の個性や能力を見極めながらその人なりの指導をする桜木の姿勢に共感できます。
がんばれと励ますことなら誰でもできる。頭のいい人ならばできてあたりまえの勉強法のスタイルはある。けれど、まず、諦めてしまう子どものやる気を出すにはどうしたらいいのか。それは、ひいては、大人たちの生き方にも響くものでもある。
友だちとの関係や家族との軋轢をどう乗り越えるか、そして発達障害児の数学的才能を見出して伸ばすこと、勉強仲間をつくって孤独にならないこと。いがみ合っていたのに、最後は信頼で結ばれる師弟や同級生。10代の頃に戻れたら、こういう学生生活が送りたかったと憧れる部分もあります。まあ、ドラマなりのご都合主義もあるのですが。
最終回でよかったのは、ラーメン屋の息子くんの瀬戸がダメ元受験で合格できたこと。そして、性悪優等生メガネ君の藤井が同期のいじめられっ子の健太を助けて負傷してしまい、受からなかったけれど再挑戦を図るところ。ヤンキーっぽいコンビも最後にはいい立ち回りをしましたね。
最後の学園の売却をめぐっての逆転劇もよかったですが。
やはり人間て、若い頃に人生を変えてくれる力を与えてくれた恩師のことは忘れないものなんですね。卒業式でのはなむけのスピーチも役者さんは本気の涙を見せているようでしたし、桜木先生のラストのありがとうも感極まる場面です。
この東大専科は最終的に9人になる特別クラスなんですが。
生徒ひとりひとりを見守るには、やはり少人数でゆとりのある運営が必要なんじゃないでしょうか。
私は前作のドラマも、原作漫画も知らず、今回も全話視聴ではなかったのですが、国語の要約のしかたと、英語のなりきり勉強法は納得のいくものがありました。留学経験のある女芸人さんとか、変わり種のゲスト講師の回は面白かったです。ああいう面白いセンセイ、実際いたら楽しいですよね~。
私自身は受験であまり失敗したことはないので、勉強は苦にならないんですけど。でも、勉強ってお真面目ぶってひとりで戦わなくていい、誰かを蹴落とすためにやるものではない、楽しんで成長を味わいながらやっていい、と気づかせてくれるのがいいですね。それでも、試験本番というのは押しつぶされるような気分があるものですけど。今だと、五輪を控えているアスリートがそうなのかもしれません。私たちだってコロナの不安がなければ多少なりとも応援はするでしょう。
ところで、最近は東大卒のタレントさんも増えているし、医師や国家公務員、大企業などを目指さずに、すぐ起業するひともいるようです。
ただクイズ問題の作家さんとか、勉強法ばかりのライターさんとか、を観ていると、すでに用意された答えを早く出すことを競うのが頭の良さではなくて、社会が抱える貧困だとかひずみだとかを是正すべく能力を発揮したり、新しい仕事を生んで世の中総勢を豊かにしていくのがエリートたるべきだとは思うんですよね…。国立大学だから、税金だって投入されていますし、学んだことを社会に恩返しして…なんて思うけれど。東大卒の女の子が入社した企業で悲しい最期を迎えた件からして、若い人のあいだに働き方に対する向き合い方が変わっているのかもしれないですね。
(2021/07/03)
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