陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

ひとりひとりの働き方改革

2017-01-27 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

政府の推進する働き方改革で目指しているのは、「長時間労働の是正」および「同一労働同一賃金」。前者は労働者の過労死や健康不全を防ぐとともに、ワークライフバランスの普及を図るため。後者は正社員と同等の能力を有する非正規労働者の待遇改善のため。働くことに苦しむ多くの人の声がようやくかたちに整いつつあるわけです。

しかし、現実問題として、企業が残業減らしや作業効率アップを図るということは、それだけ労働者にも高い仕事能力が求められることになります。かつてのように、だらだら仕事をして残業代を稼ぐこともできないので、会社員の年収も変わってきます。短時間で効率よく成果を上げねばならず、場合によってはオフに副業もこなさねば暮らしていけなくなるかもしれません。

時間に融通が利くフリーランスであっても、好きなだけのんびり仕事をしたいというわけにはいかなくなります。私も過去に、業務上の話し合い二件と連続してふたつの資格試験、さらには確定申告の時期、という多忙が重なっててんてこ舞いだったことがあります。企業様ですと、年末から年明け、さらには新卒入社と決算報告の4月ぐらいまでは大忙しのはずですよね。

私自身、とても怖いと思うのは、ITスキルもふくめて、年々自分の仕事スキルが現在のものに見合っているか、そして、これまできちんとした仕事の習慣を習得しえているのか、ということ。私はかつてはじめて正社員になったとき、これまで派遣で使用していたPCの専門スキルが、会社の業務からすれば微々たる能力に過ぎないことを知り、愕然としたことがあります。営業としてのビジネスマナーも知らず、会計知識もなく、そしてファイリングの仕方もいい加減で、ビジネスメールでは恥ずかしい思いをなんどもしました。

事業主になりますと自分の好き勝手に仕事は進められますが、こだわりだすと、どんどん雑用が増えます。お相手様に気に入られようとして無駄な用も引き受けてしまったり、いらぬ電話をかけてみたり。その反動で、ストレスが溜まって趣味やネットに逃げたり。

そのようなとき、かつての会社員時代に出会った上司や先輩、同僚がどのような仕事ぶりだったのか参考になります。かつて、とても苦手な事務のお局がいたのですが、その人はいっけん仕事がかなり雑でぎりぎりまで取り掛からない。ところが、締め切り前になると鬼のように作業をこなす。なんでも早め早めに処理し、余裕があれば校正するようになんども書類に目通ししたほうがいいという、研究論文執筆するときのような気分でいた私には衝撃的でした。実はその人は、相手先の要望によって締切前にプランがころころ変わるので、ぎりぎりまで寝かせ、しかも、似たような作業はまとめて一気に片づけていたわけです。この思い切りの良さ、私にはとうてい真似できない。しかも、この人は、行く先々で書類のコピーなどを許してもらえるように、いろんな部署に顔出ししていたのです。

ひとつ筆を入れては全体を眺めて、徐々に絵画を制作していくような、完璧主義を追い求めてしまうような、偏屈な仕事スタイルが染みついてしまった自分には、なかなかフットワーク軽い仕事ぶりを発揮するのは難しい。仕事をひとりで抱え込んでしまうタイプだと助けを求められずに自滅しやすい。ひとりで机に向かってお勉強したり創作したりするのとは訳が違う。

どうやったら、いかにうまく、効率よく、短時間で結果を出せるか。
私は前日に、明日おこなう作業をなるべく欲張りにリストアップし、優先順位をつけつつ、同じような作業工程や向かう先が似ているものは、まとめてしまえるよう調整しています。そのため、毎日、毎日、素早く判断を下さねばならないし、予定が前後したりする。時間に余裕があったのに、家族に用事などを依頼されてしまう。迷っている暇がなくなってくるのです。深く考えるのも必要だけど、スパッとここまでで線を引くのも大事ですね。



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