陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「孔雀夫人」

2021-07-16 | 映画──社会派・青春・恋愛

家庭があるのに他の異性に懸想するのがあたりまえみたいな洋画のラブロマンスは好きではないのですが、そんな映画だったのが1936年の「孔雀夫人」
「ローマの休日」「おしゃれ泥棒」を手がけた巨匠ウィリアム・ワイラー監督作品。

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アメリカ中西部の都市ジーニスで自動車王として成功したサム・ダグワース。妻フランのたっての願いで会社を手放し、夫婦水入らずのヨーロッパ旅行へ出航。
20年連れ添った仲だったが、夫婦の間柄は冷えきっていた。妻は船上で知り合った英国人将校や若い貧乏貴族と親しくなっていき、夫はそっちのけ。しかも、夫のお金で別荘を借りてかってに豪遊。そして、なんども相手と破談になっては夫にすがりついてくる浮気性で自立心のまったくない女性で観ていて腹が立ちます。
いっぽう、夫もまた、こころ優しきコートライト夫人と出逢い、心を通わせていく。

互いに離婚を決意していた矢先、フランが貧乏貴族の封建的な母に反対されて、舞い戻ってきてしまいます。
はたして、夫婦はまたよりを戻すのか?

ここに描かれているのは、よくある熟年の夫婦像ですね。
いちいち愚痴っぽく見栄っ張り、若作りなわりには年相応のたしなみのかけらもない奥さんのほうが好きになれないですが、大実業家の妻としていろいろ苦労を募らせてきたのかも。

じつは、夫婦関係というより、ヨーロッパ文化に劣等感を抱くアメリカ人の滑稽さを、諷刺した一作。
なにかというと金にあかせて物を言う態度、スキャンダル好き、貞淑さのない軽薄さ──たしかに、いまの日本も毒されているアメリカイズムでしょうかね。

主演は夫役にウォルター・ヒューストン。コートライト夫人役にメアリー・アスター。
原作は米国人初のノーベル文学賞受賞者となったシンクレア・ルイスの小説。

(〇九年九月一日視聴)

孔雀夫人(1936)(1936) - goo 映画


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