
2021年9月10日のネットニュースによると。
某大手飲料メーカーの代表取締役社長が、経済同友会の会合にて、従業員は45歳で定年を向かるのが望ましい、会社に頼らない生き方をすべきだ、と発言。これが大きな批判を浴び、一転謝罪に追い込まれたとのことです。
【釈明】「45歳定年制で個人は会社に頼らない仕組みが必要」サントリー社長発言に「ちょっとまずかった」https://t.co/gLWIOA4gfU「スタートアップ企業に行くなど、社会がいろんなオプションを提供できる仕組みを作るべきだ。『首切り』ということではない」と述べた。 pic.twitter.com/AtuVqUpqIU
— ライブドアニュース (@livedoornews) September 11, 2021
政治家の皆さんもそうなのですけど、最近ね、所属の組織や業界イメージを悪くするような舌禍をよくやらかしますよね。新型コロナウイルスで脳がおかしくなったのでしょうか?
でも、多くの経営者さんは本音では思っていたのでしょう。
ビジネス雑誌なんかでは、しばしば40代、50代のお荷物社員がどうのこうの、という意地悪な特集が組まれたりする。テレワークの隆盛で指揮権はあるが、IT活用できない社員が浮き彫りになってきてしまった。ペーパーレス化や部門間のセクショナリズムで障害になっている中高年がいて、若い世代が成長できない。だから、人材の新陳代謝を図りたい。
けれど、40代半ばで定年を言い渡される身にはたまったものではない。
晩婚化でやっと、この年代で子が授かったひとだっている。大学生ぐらいで一番学費がかかる。住宅ローンだってある。初老だから健康状態も傾いている。なのに、会社から追い出される、なんてと絶望するでしょう。小泉政権時代に、リストラされた中年の自死が多かったのをしらないのですか。中高年の失業手当受給が増えたら、けっきょく現役若い世代の負担が増えるだけなのに。
若いひとにしたって、こんな会社を目指したくはないでしょう。
不安定な氷河期世代を見ているから、いまの若者たちは安定志向が人一倍強かったりもする。だからこそ、新卒カードで大企業に入社できねば、人生の先が見えているからと絶望したりもする。
そもそも、経営者にせよ、創業者一族ではなくして雇われ社長ならば、ただの社員です。
つまり、会社に頼った生き方をしているのは、他ならぬご自身。会社は経営幹部層だけの私物ではありません。出資した株主もそうだし、社員ひとりひとりだって、会社の支え手でしょう。
そして、この発言者の社長さんは、当年きって62歳。
ご自分がその40代半ばのときにローソンのCEOになるからと三菱商事を退職したからといいまして、誰もがそんな華麗な転身ができるとは限らない。慶応卒で米国の大学留学でMBA取得でとすごいキャリアだけど、離婚を3回もされている時点で察してしまいます。どうせ若い女性に乗り換えては、奥さんを捨てていったのでしょう。こういう人に、妻子を抱えて懸命に働いてる世のお父さんの気持ちなど分からんでしょうね。
45歳で退職にするなら、それまでに給与をあげろ、退職金を上乗せしろ、年金受給も早めろ、がおおかたの意見。そもそも、政府はね、年金の受給開始年齢を遅らせようとしていて、なるべく企業に高齢者を雇えと法改正してまでけしかけているのですから。人材の若返りを図るんだったら、まず、経営者や国会議員にも定年制を設けてほしいですよね。
ところで、わりと、若い頃、私もこの経営者と同じ傲慢な考えを持っていました。
無能な中年世代はさっさと退場して、その席を若い世代に譲れ。伝統や慣習なんか打ち破れ。そんな息巻いていた青くさい世代ほど、自分がずっと温めていたい椅子が手に入れば、若い人を含めた他者を顧みなくなるものですよね。ほんとうに優秀なリーダーならば、不足があるにせよ、それぞれその人材の使い道を考えてみたりもできるから。トップがそうでないと、会社にひとは集まらず、このひとのために尽くそうとは思いもしないから。
偏見極まりなく失礼ですが、この団塊の世代あたりの方って、逃げ切り世代ですよね。
バブルでいい思いしたでしょうに、手取りが多い時代で年金だって恵まれているのに、まだ自分より下の世代をいじめようとするんですね。
あと、こうした留学経験あるエリートに多い、欧米の遣り口をあてはめて日本の労働環境をめちゃめちゃにしようとするの、やめてほしいです。賠償金を踏み倒して海外に逃げて、日本ディスりをしているどこかの実業家さんみたいに。しかも、このひと、オリンピック関連の委員をされてるから、オリパラの利権企業関係者なんですね。
でも、失業者が増えたら、ご自分の会社の商品誰が買うのでしょうかね。
国民の生活が豊かであるからこそ、お酒が安心して買える、飲める、味わえるわけで。自動車やら家電やらにしても、従業員を非正規にしたりリストラしといて海外市場に進出して、けれどコロナ禍だから輸出が伸びないから、もう正社員を抱えるのをやめます、ってひどい話ですよね。自分の会社を支えている人々の生活のことなんかどうでもいいんですよね。日本人の労働力が劣っているというのならば、日本の会社をやめて、イチから海外で起業したらどうですか?
文化財団も持ってるし、天保山ミュージアムも昔よく通って好きだったのに、残念です。
といいますか、企業イメージが悪くなって困るのは、そこで働く社員の皆さんなのに。創業者のやってみなはれ精神やら、リスクのある生き方は、ある程度の後ろ盾と資本がある人間しかできない選択なんですよね。それが実現できていないから、いつまでも社是になっているんでしょうね。
( 2021/09/11)