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B:be

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「そこに居ること」というのが俳優の第一の仕事だと、そう考えている。

演技とは、創作であり、それは実は『創られる』ものだとも考えている。

アクションとリアクションで芝居は構成されている。そしてよく、稽古初期に僕が俳優とやる作業の一つに「他動詞探し」がある。

OASで教える時には、みんなある程度知っているかな、と「Be動詞」を用いてこの辺りの説明をするのだけれども、なかなかうまくいかない。

みんなすっかり忘れてしまっているらしい。


「BE」とは元は「存在する」という意味である。

だから、ハムレットの有名な台詞「to be or not to be」は、日本に来た最初期には「生きるべきか死ぬべきか」と訳された。

通常、このBEはこのあとに続くものによって、意味が変わってくる。

I was in the house. 「私はその部屋に居た。」

という意味になる。その家に存在していた、ということだ。

英語の授業みたいだからって眠くならないで下さいね。(笑)


She is beautiful. 「彼女は美しい。」

これも存在なのだ。

彼女は{美しい状態で}存在しているわけだ。

ちなみに、こうした形容詞では、演技をしにくい。
美しいなどということはアクション(動詞)としては行えない。

と、いうことで出てくるのが他動詞。

She is loved by him 「彼女は彼に愛されている。」

愛されている女性、恋人がいる女性はどんどん美しくなるらしい。お芝居的にも、彼に愛されるのだから美しいのかも、と観客が騙されるのかもしれない。

それはさておき、さらっと他動詞と言い切ったけれど、他動詞ってナンだっけというひとに一言。

上記の例文は受動態と呼ばれるもので「~される」という表現です。
つまり受動態に出来る動詞が、他動詞なんです。

他動詞というのは、学校の先生がOと書いていた目的語を取る動詞であとに続く名詞に作用していくきます。

上の文章なら「愛する」という動詞は必ずその対象が必要になってくるわけです。

I was lifted.

ならば、liftは「持ち上げる」という意味なので、「私は持ち上げられた」という意味になります。

つまり、必ず相手に働きかける他動詞を用いて演技していくことによって、アクションとリアクションという演技が「創られていく」わけです。


先日の授業後に、「居る」ということをやりやすくするためにはどうすればよいか?というような質問を受けました。

正確には「とても上がり症なんだけれどどうすればよいのか」という質問だったけれど、「居ること」に集中すればよい、と答えました。

そこに居られれば、他の役者から絡まれていくわけで、それにリアクションを返していけば立派に芝居が成立していく。

でも、じゃあ、「居る」ってのがそもそも難しいんだっていう人にはどうすればよいのか。

今日、出てきたBe動詞の例文の左側には何があるでしょう。

そう、主語があります。

つまりその、主語をどのように演じるのかということがそのまま演じる、ということなのです。

だからやはり「I」がどういうものなのか、これを探るのが第一歩です。

そんな中、僕が勧めているのは、「足」に集中したり、「指」に集中したり「呼吸」に集中したりすることです。

そうすればそのパーツパーツはやはり自分を構成するものなので、それが、地球が私達を引っ張る重力を意識させ、ひいては地球へのリアクションをする、という演技を成立させることに役立つだろう、とおもっています。

単に「立つ」「座る」ということも立派にリアクションなのだ、地球への。
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