意外にみんな知らないんですけど、動詞です。
学校で英語の文型というものを習ったときに、SとかVとかOとか習いましたよね。
あれです。
Vはverbです。
ちなみにS(主語)はsubject(iveがついて主観的)、O(目的語)はobject(同じく客観的)です。
以前、アメリカの俳優さん(映像が基本のようでしたけれど)が書かれた本に、あるシーンでのキャラクターの行動は1語の動詞で表し、それに基づいて演技していくと良い、という話がありました。
例えば、何気ない日常会話でも、「誘惑する」「だます」「惚れさせる」などを使っていくと、サスペンスになったりコメディーになったりします。
そういえばチュートリアルのM1優勝時のネタは、なんでもない冷蔵庫に関する会話がなぜか新しい嫁さんの話にも聞こえてきたのを覚えています。
とても演劇的だなあ、と思いました。
別の言い方では、サブテキストとか言ったり、真意とか本音とか裏の意味とかいろいろ表せます。
でも、ここでは動詞1語にまとめる、ということがポイントです。
そうすると演技の目的が一つに定まるので、大変演じやすくなりますし、セリフの一言一言の意味合いも、その文脈において理解できるのでやりやすくなります。
複雑な感情を表現しようとして「これも表現してこれも表現して」といっぱいいっぱいになりがちですが、この「そのセリフを一言で言うと?」というのを考えるのは有益なことです。
昔、鈴木裕美さん(自転車キンクリート)のワークショップで獲得した業に「ファニエストジャパニーズ」というのがあります。
テレビ番組で「この内容を英語一言で表すと?」という質問を街頭でする「ファニエストイングリッシュ」という番組があったそうです。そうすると、みんないきなりそんな流暢に英語は出てこないので、大抵本質的な一言が出てきたりして面白いそうです。それの日本語版です。最初は英語で聞いて、うまくいかなかったら「ファニエストジャパニーズ」で、ということになるわけです。
応用編で僕が使うのは「3歳児になったつもりで一言で言うと?」などです。
多分、僕たちは言葉を尽くして尽くして、なんとか自分の考えていることや感じていることを言い表そうとします。
最近思うのはこういうことに2タイプあって、僕のような言葉が多くなるタイプと、ものすごく言葉を捜して探して時間をかけて言葉にしていく人です。
僕自身は、先人が使ってきた言葉ということを背負って・・・というかその経験値=世界に与えてきた意味を信じたいので、かすっている言葉ならどんどん繰り出していきます。
いつも「あー、しゃべりすぎたなあ」と思うのですけど、そして今書いてきたように一言で言い表せるのだと思うのですけど、やっぱり言葉が多くなります。
そんなわけで、やたら長いセリフに出会うと僕は俳優さんに「これを一言で言ってください」とお願いすることになります。
あと、もちろん今回は「動詞」ですから、動詞のほうがこの場合よいんです。
動詞は基本的に人を動かすんですね。
芝居も文もすべてが「誰が」「何をした」かが重要で、それを伝えているわけです。
なので、演技というのは必然的に「誰が」は明らかなので、動詞が有効なのです。
これが例えば「美しい」なんていう形容詞だったりすると、とたんにやりにくい。
「美しい」で動くことは難しいし、そもそも主観的な判断ですから。
「かわいい」も難しいですけど、「かわいこぶる」だととたんにやりやすくなりますよね。
芝居の稽古はなくなりましたけど、英語を中学生たちに教えながらいろいろと学べています。
「英語を読む上で、主語と動詞が何かが一番重要なんだ」と当たり前のように言いながら、「これって文や芝居もそうだな」と理解することができていっています。
10年前は高校生たちでしたけど、今、中学生に教えることでもう一段階本質的なところに降りていくことが出来ているのかもしれません。
と、いうことで大掃除は明日しようかな。YOU企画自体は年度制ですから年越しとか新年とか関係ないし。(笑)
あ、2009年度最後の事業は、3月22日から28日に樟葉生涯学習市民センターでやる集団演劇創作ワークショップ「C.D.F.」です。近いうちに告知しますので、みなさま、予定を空けておいてくださいね。
ではでは。
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