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S:stand

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尾田栄一郎氏のマンガ『one piece』第82話「OK.Let's STAND UP!」の扉絵で「おおー!」と思ったことがあって、どこかで誰かに言いたかったので、ここで満を持して言わせてもらいます。

物語自体は申し訳ないがはしょらせてもらいます。どこかで調べるかマンガ喫茶で読んでください。
扉絵では、主人公たちがそれぞれ描かれていて、ルフィ、ゾロ、ウソップ、サンジは「stand by」と書かれていて、
ナミだけが「stand the pain」と描かれています。

4人の仲間が、ナミの痛みに耐えながらの叫び「助けて」に対して応えるシーンです。
ナミの居たくもない居場所である、故郷を蹂躙したアーロン一味へ喧嘩をしにいくのが82話です。

stand は自動詞としてはおなじみの意味「立つ」を持っているので、前置詞byを用いて、stand by the war
のように「戦いの準備が出来た」という使い方ができます。

一方、ナミに関しては、the painを目的語に取る他動詞で「我慢する」という意味で使われています。
「その痛みに耐えている」ということです。

尾田さん、うまく使ってるなあー、と思ったものです。


さて、先日母校樟葉西小学校で演劇ワークショップがあり、見学に行ってきました。
妹の卒業式に行って以来ですから、5年ぶりぐらいです。
もともと中学・高校の頃は小学校でやっていたバレーのクラブチームに所属していたので、とっても懐かしい体育館で発表は行われていました。

そのまえの図工室でのリハーサルから僕たちは見学していたのですが、そこで「舞台の立ち方」ということに考えが及んでいました。
小学6年生たちと俳優さんたちが共演しているわけですが、子供たちのうちの幾人かは明らかにその場面の中にはおらず、どこか遠くへ行ってしまっていたのです。30人もいるんでそういう子たちが出てくるのは明らかにしょうがありません。
もちろん本番はその子たちもきちんと参加していたはずです。(ちょっと遠くからだったので確認できず・・・)

でも俳優さんたちにとってはしんどい状況です。
高校生たちに教えていてもあるのですが、明らかに恥ずかしがって、観客と普通に視線を合わせたり、身体をむやみに動かしてしまったり、下を向いてしまったり、とにかくお芝居の中に入り込めていない時があるんですね。

この舞台での“立ち方”っていうのは難しくって、自分の世界というかお芝居の世界に入り込んじゃってるのはダメだし、かといって完全にいわゆる“素”に戻ってしまうのもよろしくない。

それでも何人かの俳優さんたちはうまく対応していてすごいなあ、と眺めていました。

多分、ある種の自己言及(たとえばあだち充がよく自分を登場させますよね)とか、あるいは客席で起こっていることをも取り込む(例えば『ガラスの仮面』でマヤが高校の体育倉庫で芝居を演じるとき、途中で喋りながら戸を開けて入ってきた観客が居て、芝居が壊されそうになるんだけど、即興でその出来事さえも取り込んで芝居を続行するような)とか、幾つか対応策はあると思うんですが・・・。

つまり「これは虚構なんだけれど、客席と舞台は繋がっているんですよ」ということを観客に体感してもらえていれば、違和感なく見られる芝居になるのではないかと思うのです。
そしてそれは俳優だけが創る事のできる空気感であろうなあ、とも。

ここでも書いたことがあると思うんですけど、ある俳優さんに「立つ」こともリアクションだと言われたことがあります。
「立つ」って上に書いたように自動詞なんですけどね。
でも“重力”に対するリアクションなんですね。
重力に対して我慢しているわけです。
Actors stand the gravitaion. というわけです。


だから、「立つ」ということは、やっぱり舞台上に「居る」ことが出来るかどうかが鍵だと僕は思うのです。

舞台上に居て、その場で起こる出来事に対してそれぞれ"stand"できたら、きっと一番良いのでは、と思うのです。

はい、一応最初の意味のなさそうな振りが効いて来ましたね。
舞台上で立つことは自動詞ではなくて他動詞なんだと思います。

そしてこれは人生や生き方においてもそうなんじゃないかと。
演出家なのかどうかじゃなくて、個別の場面できちんと演出家として対応できていれば、「さすが彼は演出家だ」ということになるのです。

まあ、間違っても苦痛に耐える(stand)演出家は嫌ですね。

俳優さんがpleasureを持って生きなければならないのと同様に、演出家もそうなのですから。

ということで、楽しいことの、ちょこっとだけ宣伝です。

7日13:30から樟葉生涯学習市民センターでワークショップします。
よければ遊びに来てください。

真剣に遊んでくれる人を募集しております。
少しでも創作に関心のある人はお越し下さい。

詳細はHPで。
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