Re-Set by yoshioka ko

■騒乱、パキスタン!

 成田を飛び立ったTG機は定刻の午後2時半にはタイの新バンコク国際空港に到着した。新しい空港は、関西空港とUAEのドバイ空港を合わせたような、ダイナミックな造りだった。

 タイはトランジット。しかし一泊はしなければならず、市内に行くには中途半端な感じだったので、ネットを使って空港近くの「コンビニエント・リゾート」というなのホテルを予約しておいた。リゾートと名が付く以上、タクシーなら誰でもわかるに違いない、と踏んだのだが、乗った運ちゃんはあちこちさまよったあげく、40分もかかってようやく探し当てた。あとで聞いたら、空港からは10分ほどで着く距離だった。

 夜8時頃、遅い夕飯を取ろうと思いながら、何とはなしに部屋のテレビをつけたら、CNNがパキスタンの元首相ベナジール・ブットが暗殺された、という速報を流していた。パキスタンといえば、実は明日の飛行機で向かう地だ。今日はそのためのトランジットだった。

 2001年9月、アメリカで起きた同時多発テロ事件後、パキスタンのムシャラフ政権はそれまでの外交政策を大きく転換した。テロに対する姿勢をアメリカ寄りにシフトしたのだ。それから6年、国内ではムシャラフ政権に対する不満が高じ、いつ爆発してもおかしくない政情が続いていた。

 ムシャラフ政権批判を強めていたブット氏の暗殺は、パキスタンの政情を一気に悪化させるに違いない。CNNテレビは「パキスタン当局はアルカイダが起こしたテロ事件だ」と言ってる、と盛んに報じている。

 次々に新しい映像が挿入されるテレビを見ながら、一気に緊張感が込み上がってきた。

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