【カイロ時事】イラクの南部バスラなど同国各地で7日から8日にかけて、テロが相次ぎ、計60人が死亡した。8月末までの駐留米軍戦闘部隊の撤退を控える中、過激派が活動を活発化させているとみられる。
AFP通信によると、バスラでは7日、自動車に仕掛けられた爆弾などによる3件の爆発が立て続けにあり、市場で火災が発生した結果、43人が死亡、185人が負傷した。このほか西部ラマディでは8日、自爆テロがあり、6人が死亡するなどテロが相次いだ。
落ち着くどころか、アメリカ軍の撤退が終われば、むしろ「内戦」のような状態に陥るのではないか。日本での関心は、すっかり失せた観のあるイラクでの〈テロとの戦争〉。始めたアメリカにとっては、ことに兵士たちにすれば、撤退は喜ばしいことに違いない。何せ、目的も不明なまま7年も継続してきたのである。通常の戦争とは違い、非対称の戦争といわれた〈テロとの戦争〉は、兵士のからだの中に想像を絶する傷を植え付けた。
一方的に戦争を仕掛けられたイラクでは、すでに10万人もの死者が出ている。そればかりか、それまで顕在化することもなかった宗派対立から、上記のような事件が頻発。宗派による対立は憎しみを倍加させながら、さらに深みにはまりこんでいくようだ。
無用な、ともいうべき〈テロとの戦争〉は生まれ、当事者となったアメリカ自身はいうまでもなく、イラクやその周辺国、同盟国に大きな亀裂を刻みながら、またまたその発端となった「911」を迎える。イラクと逆比例するように、アフガニスタンでは兵士の増派にともなって、兵士の犠牲者も、アフガン人の犠牲者もうなぎ登りだ。イラクにせよ、アフガニスタンにせよ、解決の糸口を見いだせないまま、なぜここまでこじれているのか?
答えは明確なのに、明確な処方も出来ないまま、来年は〈テロとの戦争〉から10年だ。
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