Re-Set by yoshioka ko

■パキスタンへの第一歩

 早めに目が覚めたので、CNNテレビをつける。前日暗殺されたベナジール・ブット氏暗殺の詳報が繰り返されている。

 パキスタンの野党であるPPP(パキスタン人民党)女性党主のブット氏は、首都イスラマバード近郊の町ラワルピンディでの選挙演説を終えたあと、車に乗り込んだが、支持者の歓喜に答えるためにルーフ付選挙カーから首を出したとき、銃撃されたのだという。撃ったのは男で、その後男は自爆したという。ブット氏は近くの病院に運ばれたが死亡、「殉教した」と党の関係者は語った。

 パキスタンに向かう飛行機は10時50分にタイの新国際空港を飛び立った。満員の乗客で、テレビカメラを持ったメディア関係者と思われる人たちもちらほら見える。パキスタンのイスラマバードには予定の午後2時半を1時間も早く到着。

 6年前、初めてイスラマバードの空港に降りたとき、〈テロとの戦争〉をきっかけにその外交政策を親米に大きくカーブを切ったムシャラフ大統領の演説が、構内備え付けのテレビから流れていた。降り立った乗客も空港職員も真剣な表情で画面を見つめていたものだったが、いまは淡々と仕事をこなしている風だった。

 入国も税関もすんなりと通過。ブット暗殺後の雰囲気を感じ取ることはなにもなかった。というよりも、「アルカイダの犯行」と政府がほのめかしている以上、入国審査などはもっと厳しくなっているはずだ、と思いこんでいた。意外だった、というのが実感だった。

 空港にはパキスタン人の友人アミンが迎えに来てくれていた。「大変です」というのがアミンの第一声だった。私たちを乗せた車は市内のホテルに向かってばく進する。遠くに黒煙が見える。聞くとタイアが燃やされているのだ、という。通常の道とは違った田舎道風な道路にはいる。幹線はブット氏暗殺に怒った者たちによって作り出されたバリケードや残骸などの障害物があるので迂回したのだとアミンは説明する。

 いつもなら車の渋滞やら市民たちのひと息でごった返す市内の通りには全く人気がない。店も閉まっている。宿泊するCホテルがあるジナー通りも人はまばらだ。なにか皆が息を潜めている、といった感じだ。

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