Re-Set by yoshioka ko

■ガマの記憶

 沖縄にはガマと呼ばれる洞窟がある。沖縄戦の時にこのガマは、旧日本兵や住民の避難場所として活用された。しかしこのガマをめぐっては、旧日本兵が自ら助かりたいために住民を追い出したとか、集団自決の場所となったとか、逃げ場所としてはっきりしていたので、アメリカ兵は火炎放射器で殲滅させたとか、様々な話がある。これらの話のひとつひとつを想像してみると、そこには(映画「硫黄島からの手紙」を見るまでもなく)戦争の「狂気」があるのみである。

 ガマは、勿論沖縄ではそのような「場」であったが、しかし沖縄に伝わる伝説の世界に身を置いてこのガマを眺めてみると、そこは沖縄のネズミ小僧が技を磨いた場でもあった。

 沖縄を占領したアメリ兵たちは、このネズミ小僧話に拍手喝采をしたというが、それは勿論、占領の正当性を沖縄の住民に再認識させる意味合いが濃かった。実際にアメリカ軍はガマだけではなく、御嶽とかノロといった沖縄だけに残る話を好んだ。

 具志頭のガマを覗きながら、ガマにまつわるふたつの話を思ったが、民話の世界よりも、戦闘に関わったガマ、という思いのほうが当然ながら強かった。なぜならば、沖縄戦から60年以上が経つというのに、具志頭のガマはその当時のことをストレートに思い出させるたたずまいを見せていたからだった。

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