Re-Set by yoshioka ko

■村の山から

 村の上空に黄砂が舞う。普段だとすっきりとした青空が広がっているはずなのに、地球は呼吸困難な表情を時々見せる。黄砂の粒子の中を花粉も舞うのか、沖縄で花粉症から脱出できて喜んだものの、またぶり返してしまった。

 森林管理局の許可を得て国有林の山に入ってみた。ヒノキやブナの木がすっと空に伸びている。見渡してみると、伐採された切り株が自然のコケに覆われている。聞くと2~30年前に切り倒されたものだという。

 手斧で切り倒したか、それとも機械でか。切り株を見れば一目瞭然だった。当然ながら手斧は切り口がジグザグになっている。機械は平ら。切られたあとに子供のような幼い木が育っていた。それをなんと呼ぶのかは知らないが、木こりたちの信仰=木の精霊を敬うためだった、という。

 精霊が宿る山は、今では鬱そうとするばかりだ。間伐も行わず、台風などの影響で風倒木があちこちに転がっている。国が管理する山とはいえ、間伐といった普段の作業は、その国有林が広がる自治体に任せたらどうなのか。そうすれば国も自治体も両得なのに、と思ってしまう。

 明日は小中学校の入学式だという。いつかは村を背負う子供たちは、どんな顔を見せてくれるのだろうか。楽しみではある。 

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