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■合掌!ミャンマーで逝った長井健司さん

 死者の中に後輩がいた。ミャンマーのヤンゴンで、取材中の日本人TVディレクター・カメラマンが銃弾に当たって死亡した。長井健司さん。50歳。

《以下引用》
 「病院関係者によると、ミャンマー最大の都市ヤンゴンで27日、軍事政権に抗議するデモが拡大する中、日本人とみられる外国人カメラマンが死亡した。
 目撃者が明らかにしたところによると、この男性が倒れた際、警察と1000人の群集が衝突し、銃撃があった。死亡したのは「中国人か日本人のように見える、小型カメラを持った年配の男性」で、現地人が着ないような服装をしていたという」(9月27日『ロイター』)

 ロイターが伝えたあと、死亡した日本人は長井さんだとわかった。

 彼とは10数年前に、テレビ朝日の夜の報道番組でずっと一緒だった。そのときは、比較的おとなしい特集企画などを手がけていた。それから何年か経ったあと、ひょっこり東京の代々木公園駅で出会ったときには、別のニュース系の制作会社に移っていて、そこで仕事をしているという話だった。〈テロとの戦争〉など、イスラム世界を始めきな臭さが漂よい始めていた時期で、それに向き合う仕事をしたいと、弾んだ声で教えてくれた。私も〈テロとの戦争〉には、私なりの思いもあってアフガンだ、イラクだ、と何回か行き来していたこともあって、危険にはお互い気をつけようぜ、などといって、そのときは別れた。

 今年春、今度は赤坂の通りでばったり出会った。赤坂には彼が勤める会社があって、出勤途中だったのだろうか、しばらく立ち話をした。そのときも彼は、世界の出来事に相当の関心を抱いているらしく、イラクだろうか、北朝鮮だろうか、いや中南米も面白そうだなどと、話をした。

 戦争とか、政変だとか、国家崩壊といったいわば歴史書に刻まれる現場に立ちたいと思うのは、私もそうだが、長井さんもそういう気持ちだったのだろうと推測する。そんなところから、これまでじっくりと話をしなかったな、と思い、近々呑もうか、などと言い合って別れた。結局実現しないまま、それが最後となってしまった。

 BBCのニュース映像なのかどうか不確かではあるが、今日の夜のニュース番組で、カメラを高く掲げた長井さんらしき人物が、仰向けに倒れている映像が流れた。

 私はその映像を見ながら、「ついにオレは撮ったぞ。僧侶や市民に武力を持って対峙しなければならないほど追いつめられた独裁政権の末路を!」と、世界の歴史の一行に記されることになるかも知れない現場に立った長井さんの〈声〉を聞いた気がした。合掌!

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