農村医療に尽力されてきた県厚生連佐久総合病院の名誉総長の若月俊一さんが、昨日22日に亡くなった。96歳だった。佐久病院に根付いてきた医療精神は、国内だけではなく、アジアを始め世界にも受け入れられてきた。佐久病院で研修を、という医師の卵たちは、年間100人を超す、と聞く。
昔の立地のままという佐久病院は移転を余儀なくされている。だがいまひとつうまく進展していない、という。地域に根をおろし、ずっと地域から信頼されてきた病院であるだけに、移転に関しては行政も精一杯の愛情を持って対処して欲しいものだ。
私の実家からは病院も近く、現に老いた私の両親は何度もお世話になってきた。地元だけではなく、佐久病院を訪れる患者さんは地元以外の県内からが3分の1、県外からも3分の1だという。いかに信頼されてきたかが窺われる。
その根幹を作ってきた若月さんが亡くなった。心から合掌。
もうひとつにことを書く。
もちろん、まだ手放しの予測はできない。しかし、いい徴候ではないか。全紙が報じた出生率のことである。
《以下引用》
「今年上半期(1~6月)の赤ちゃんの出生数は前年同期比1万1618人増の54万9255人で、上半期としては平成12年以来6年ぶりにプラスに転じたことが21日、厚生労働省が公表した人口動態統計(速報)で分かった。6月に発表された17年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の平均数の推計値)は過去最低の1・25を記録したが、同省は「今後もこのペースが続けば、18年の合計特殊出生率の上昇も期待できる」とみている(8月22日『産経新聞』)《引用ここまで」
統計によれば、去年同期に比べ結婚も1万組増えた、という。日本は人口減に転じた、といわれたばかりだが、結婚するペアが増え、出生率が上昇に向かえば、危惧は期待に変わる。もちろん予測はできない。
どのような変化があったのだろうか、と想像する。結婚をし、子供を産み、育てる環境が少しづつ整ってきた、ということなのだろうか。つまり景気が上向き、若者たちにとっても「仕事」がある環境ができてきた、ということなのだろうか。
世の中を見渡せば、ニートだ、派遣だ、リストラだと若者たちをめぐる社会的な環境は必ずしもいいとはいえない。しかし、数字が語る《変化》の背景を厚労省は追跡してみるべきだ。少子化への歯止めにつながるヒントがあると思うからだ。
冒頭の漫画は韓国の『朝鮮日報』が今年5月9日に掲載したものである。韓国の出生率は、実は世界最低水準の1.02である。それへの危機感を風刺漫画にしたものだが、韓国の若者を取り巻く社会環境がそれなりに表現されていて、悲しいものがある。
ハングルの意味はこうである。
新生児室はガラガラ、待合室は満員の産婦人科
昨年の韓国の出生率1.02人(世界最低水準)
昨年の韓国における中絶手術件数35万件(世界最高水準)
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