、「法案が成立したからといって、強制されるものではない」などと述べたが、東京都を始め、その後の教育界の〈流れ〉を見れば、危惧されたとおりにことは進んでいる。
自殺事件が起きたあと、私は広島でご遺族と会った。「卒業式」での日の丸掲揚・君が代斉唱をめぐって、県教委からの通達と教職員組合からの「突き上げ」の狭間で煩悶していた、と新聞などは伝えていたが、ご遺族の受け止め方は多少違っていた。
《以下引用》
「卒業式での「君が代」斉唱や「日の丸」掲揚をめぐり99年2月に自殺した広島県立世羅高校長(当時58)の遺族が、民間の「労災」にあたる公務災害の認定を求めていた問題で、地方公務員災害補償基金広島県支部は17日、自殺を公務災害と認定した。同支部は認定理由を明らかにしていないが、県教委は、卒業式の実施にあたって心労を重ねたことが背景にあると判断されたとみている。校長は、卒業式で君が代斉唱や日の丸掲揚を求めた県教委の通達に基づいて教職員組合などと話し合いを重ねる中、式前日に自宅で首をつって自殺した。遺族が04年2月に公務災害の認定を請求し、県教委も支部に認定を求めていた。(略)遺族は県教委を通じて「思い出すのもつらい出来事で今はそっとしておいてほしい」という談話を発表した」(8月18日『朝日新聞』)
校長に信念がなかったのではない。信念があったからこそ、煩悶し、指導力のなさに絶望し、そして自らの命を絶ったのだ、と私はそのときに感じた。国、あるいは国家が個人に対して見せた〈貌〉だった、と思う。
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