《以下引用》
「韓国政府は28日夜、アフガニスタン旧タリバン政権による韓国人拉致・殺害事件で、残っていた人質19人全員を解放することでタリバン側と合意したと発表した。解放条件は、アフガン駐留韓国軍部隊の年内撤退と、韓国人によるアフガン国内でのキリスト教宣教活動の中止だとしている」(8月29日『西日本新聞』)《引用ここまで》
日本では、高遠菜穂子さんら3人がイラクで拘束されたとき、「自己責任」という言葉が小泉首相始め自公政権の面々やサンケイ、読売といった紙メディアなどから、一斉に吹き出した。テロとの戦争にアメリカとともに戦っているのに、邪魔だ、といったニュアンスがありありだった。
しかし今回、韓国人拉致事件で韓国政府は人命第一を掲げてタリバン勢力と交渉を重ねた結果、上記のような結論を見た。アフガンからの韓国軍撤退やキリスト教布教禁止が解放の条件となっているが、年内撤退は既定の事実だったし、アフガン国内での布教禁止は、すでに拉致事件後、アフガン入国禁止措置が取られたことから、韓国とすれば実質的なデメリットはひとつもない。
解決に当たって、裏に何もなかったとは考えにくいが、それはともかく、今回の韓国政府の交渉は国際社会的には、どう評価されるのだろうか。日本政府は《テロとの戦争》に水を差す解決法だ、とでもコメントするのだろうか。
当初、二人は確かに殺された。しかし人命第一を考えた韓国政府のその後の交渉は、テロリストとは交渉しないとして、いっさいの妥協をしないで、拉致被害者が殺されても仕方ない、というブッシュ政権やカルザイ政権、それに日本もそうなのだが、このような世論に対して、有効なポイントを手に入れたのだろうか。
もし手に入れたとするならば、軍事力に頼らないテロとの戦い、という新たな解決の仕方を提示できるのではないか。なぜならば、軍事力ではテロを根絶できないという事実が、すでに目の前にあるからだ。韓国政府は今度の事件解決に至った道のりを是非明らかにして欲しい、と思う。
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