Re-Set by yoshioka ko

■三番目のビール名産地で、閑話休題

 昨日ワシントンDCからウイスコンシン州の州都ミルウォーキーに来た。フィラディルフィアで飛行機を乗り換え、トランジットを含めれば七時間の旅だった。アメリカの広さではある。

 私がまだまだ幼かったころ、〈ミュンヘン、サッポロ、ミルウォーキー〉という地名の入ったビールのコマーシャル・ソングだかなんだか、そんな語呂合わせのような音楽を聴いた記憶があった。

 長じて、ミュンヘンにも行ったし、そこでは確かにビールが有名で嗜んだものだった。サッポロはいうに及ばない日本のビールの名産地である。残されたミルウォーキーもそのはずである、とずっと思っていて、この地名を記憶してきた。

 そんな話を同行している友人に話したら、そんなことは初めて聞いた、といぶかしがった。ちょっと自信をなくしたのだが、だが記憶というものは、時に鮮明である。そこでこの地に滞在中に、この地ではいったい何が特産品なのかをまず聞いてみて、それでビールだ、という答えを得たならば、〈ミュンヘン、サッポロ、ミルウォーキー〉というコマーシャル・ソングだかは確かだった、ということになる。今に見ておれ、の心境だった。

 今日、取材でお会いした地元の機械エンジニアに、一杯飲みながらその話を振ってみた。つまり、ご当地ミルウォーキーの特産はなんぞや、と。そしたら間髪を入れず出てきた答えが「ビール」だった。ミラーというビールの工場があるのは実際に確認できたし、エンジニアは、そのほかバッドワイザーや何とか何とかもみんなそうだ、といって銘柄をあげたが、もはや私にとってはどうでも良かった。

 子供のころ記憶していたあの〈ミュンヘン、サッポロ、ミルウォーキー〉というコマーシャル・ソングは、サッポロのビールを宣伝するためだったとはいえ、そこにミュンヘンとともにミルウォーキーも使われたのだ。

 どうでもいい話ではあるが、友人はなにげに驚き、ビールの名産地のここで地元生産のミラーを一緒に飲んだ。軽やかな、してやったりの味だった。

 そしてもうひとつ、ミルウォーキーから車で二時間あまり走った田舎町レッドグラナイト(Redgranite)では、アメリカのいまを象徴する出来事として、親と子の「絆」を本当に考えさせられる話を聞いた。近々この欄で報告します。

 明日は「狩り」に行く予定。



 

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