Re-Set by yoshioka ko

■狩り、または・・・・・

 ミルウォーキーは朝から雨。今年は暖冬だという。実は今朝は雪かと思っていた。雪ならば、狩りに向いている。真っ白くなった林の間をウサギの臭いを求めて猟犬が走り回り、追い込み、そして猟師が撃つ。

 だが現実は収穫なし、だった。本当は雨は狩りに不向きだ。雨は獲物の臭いを消してしまうからだ。猟犬のブルも懸命に臭いを探し回ったが、万策尽きたのか、最後はあきらめ顔だった。結果はそうだったけれども、ケニーは約束を守ってくれたのだ。

 途中ケニーは二発ほどショットガンを構えて撃ったが、獲物には命中しなかった。とはいえ初めて狩りというものに同行した私とすれば、自然の中での猟犬と獲物、獲物と猟師、猟師と猟犬との間の緊張関係を知った。それだけでも大きな収穫だった。

 アメリカ中北部の男たちにとっては、狩りは最大の楽しみだという。週末ともなれば鹿やウサギを求めて林を歩く。ケニーもそんな男のひとりだが、ほかの男たちに比べれば、ちょっと悩みも抱えている。それはまた後日に語りたい。

 明日は雨のミルウォーキーから南東に下ったジョージア州に向かう。そこではどんな人に出会えるのか。これも一日がかりの移動である。

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