だが現実は収穫なし、だった。本当は雨は狩りに不向きだ。雨は獲物の臭いを消してしまうからだ。猟犬のブルも懸命に臭いを探し回ったが、万策尽きたのか、最後はあきらめ顔だった。結果はそうだったけれども、ケニーは約束を守ってくれたのだ。
途中ケニーは二発ほどショットガンを構えて撃ったが、獲物には命中しなかった。とはいえ初めて狩りというものに同行した私とすれば、自然の中での猟犬と獲物、獲物と猟師、猟師と猟犬との間の緊張関係を知った。それだけでも大きな収穫だった。
アメリカ中北部の男たちにとっては、狩りは最大の楽しみだという。週末ともなれば鹿やウサギを求めて林を歩く。ケニーもそんな男のひとりだが、ほかの男たちに比べれば、ちょっと悩みも抱えている。それはまた後日に語りたい。
明日は雨のミルウォーキーから南東に下ったジョージア州に向かう。そこではどんな人に出会えるのか。これも一日がかりの移動である。
最新の画像もっと見る
最近の「雑感」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事