Re-Set by yoshioka ko

■「防犯」カメラのウソ?

 事故ではなく、実は殺人事件だった。被害にあったのは、またもや小学生だった。

 今月20日、川崎のマンションで転落死と見られていた小学3年生の事件のことである。痛ましい限りだが、なぜ殺人は防げなかったのか?

《以下引用》
 「川崎市多摩区中野島の15階建てマンション「リバーグリーン和泉」で今月、同市立中野島小3年、内田雄樹君(9)が転落死した事件を調べていた神奈川県警捜査1課は29日、雄樹君が何者かに突き落とされたとみて多摩署に殺人事件の捜査本部を設置した。マンションの防犯ビデオを分析した結果、雄樹君が転落する直前に15階にいる大人の男と雄樹君が映っていた。県警はこの男の行方を追っている。調べでは、マンションのエレベーター近くにある防犯ビデオは20日午後0時45分ごろ、15階通路にいる男の姿を体半分ほど映していた。ほぼ同じ時刻に通路にいる雄樹君の姿もあった。県警の分析では、雄樹君が通路から転落したのはこの数十秒後だったとみている。その後はビデオに男の姿はなかった」(3月30日『毎日新聞』)

 昨今、というよりも日本海に北朝鮮の不審船が出回り、アメリカで同時多発事件が発生したころから、日本でも「安全」を求める声が高まった。その結果、いまでは公共空間始めマンションのような民間施設でも、「防犯カメラ」の設置が容易になった。「未然に犯罪を防ごう」という人々の意識がそのような方向に向かったのである。

 だが、今回の川崎のマンションでの事件を例に出すまでもなく、「防犯カメラ」では「犯罪を防ぐ」ことはできなかった。小学3年生の男児は殺され、犯人捜しのために「防犯カメラ」に映っていた映像が利用されているだけである。

 軽々に結論を言うつもりはないが、「防犯カメラ」の現状は、誰かがまず犠牲となって、そのあとに役立つ、というケースが多い。これでは「防犯カメラ」設置場所で被害にあった、最初の被害者や家族にとってはいたたまれない。

 犯罪はどうしたら防ぐことができるのだろうか、という市民的議論を抜きにして、対処療法的に結論を急いだ結果が、こういう結果を招いている、といえないだろうか。

 「防犯カメラ」はないよりあったほうがいい、という考えもある。捜査に役立つからである。あるいはまた、「防犯カメラ」が設置されています、という看板を大きく掲げるべきだ、という意見もある。そうすれば犯人はよもや手を出すまい、という予測を持つからだ。これは一面正確だが、もう一面を言えば、犯罪がカメラのないところに移動するだけだ、という実態もある。
 
 もはや都会も地方都市も犯罪から逃れることができないのであれば、地域地域の行政、住民、警察が一体となった議論と、その上での犯罪マップを日々更新するような体制を作って対処するしかないのではないか。率先するのは、いうまでもなく行政である。

  

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