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武士の世界には「敵の悪口を言わない」という道徳があります。これには人格の尊重だとかいろいろな理屈付けはありましょうが、「敵をそしるな」という教えは理屈ではなく、武士たちは勝つことや強さを追い求める現場の感覚のうちに道を発見し、自らのものにしていったのです。
敵をそしるというのは、相手の欠点を言い立て、相手を低くおとしめることで、言葉の上で自分が優位に立とうとすることです。いわば見せかけの優位を作ろうとする行為です。
しかし、現に自分に相手を圧倒する実力があるなら、見せかけの優位を作る必要はありません。実力があるのに敵の欠点を探すことにばかりやっていれば、かえって相手の長所、実力を見損ない、味方の油断を招くことになりかねません。合戦に明け暮れていた武士たちの現場感覚からすれば、敵をそしるようなことが必要になるのは、相手を制圧する真の実力が不足しているからだということになるのです。(中略)
武士たちは、少しでも「弱さ」と考えられるものを、徹底的に排除し、真の実力を身につけようとしました。卑怯、未練、臆病。武士が軽蔑したもろもろの要素は全て弱さの代名詞です。それらを排除した果てに現れたのは、おのずと理にかない道にかなう「武士道」だったのです。(菅野覚明著「武士道に学ぶ」より)
隣国の女性大統領の昨今の振る舞いは、武士の道徳とは全く反対であることがわかります。(蛇足ですが)