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NO.15 「マッキーズ」のこと

2024年08月10日 | 記事

「マッキーズ」のこと

 

 ライカブリッジの活動の一環とも言えるのだが、月に一回土曜日の夜8時から9時、ろう者のマッキーさんに先生になってもらって、オンラインで手話のおしゃべり会を設けている。その月にあったことを手話で伝え合う楽しいひとときだ。

 マッキーさんは、昔私のいた療育施設に、保護者として高度難聴のお子さん二人と共に通っていた方である。お子さんのお兄さんの方は、このブログでも「劇団員ひでさん」(NO.10)として登場しているので、詳しくは、ヒデさんのストーリーを見ていただければと思う。妹さんは、いずれインタビューしたいと思っているが、企業に勤めた後、海外の大学に留学し、帰国して、今日本の大学の大学院で勉強している。

 

 マッキーズは、手話に興味のある誰でも参加できるが、最近は、難聴のあるお子さんを育て上げた保護者さんの割合が多い。

 保護者さんたちは、口話(音声言語)でお子さんを育ててきた。しかし、特に高度難聴のお子さんたちは、成長して大人になり、その過程で自分には手話が必要だと気づくことが多かった。自分で手話を習得したり、また、手話ユーザーのパートナーと結婚したりしている人も少なくない。その場合、夫婦の間では、手話が大切なコミュニケーション手段であることが多い。

 我が子とは口話で会話できても、我が子のパートナーとは、手話がわからなくて会話ができないのは、なんとも残念なことである。少しでも我が子のパートナーと会話したい。そういうモチベーションがあると、継続して参加してくれるような気がしている。

 

 実は、最初は、きこえる人たちの中で生活していて、なんらかの疎外感を感じている難聴のある人たちに、手話が役に立たないかなという気持ちもあった。しかし、手話どう?と誘っても、なかなか手話が切り札にならない場合も多い。なぜならば、生活の中で手話を使う機会がなければ、意味がないからだ。意味がないというのが言い過ぎだとしても、上達はしない。デフスポーツに参加して、手話が必要になって、定期的に仲間と手話でコミュニケーションをとるようになると、手話って楽しいな、100%通じるって気持ちいいなと実感する。それは、仲間とのコミュニケーションが深まる経験をするからだ。でもそういう場合は、仲間同士で教え合って、どんどん上手になる。

 

マッキーズ参加者の中で異色なのは、ライカ補聴器相談室という補聴器やさんを開業しているSさんだ。補聴器を売る仕事で、手話を学ぶ人は多くはない。Sさんは、先日手話通訳の試験も突破し、手話通訳者としてデビューしたばかりだ。通訳者として派遣されて、ドキドキの経験をしている話は毎回おもしろい。手話ユーザーとしては、手話のわかる補聴器屋さんのがいるというのは、心強いことに違いない。

 

 私はと言えば、それこそ、昔出会った子どもたちが、成長する過程で、今度は私に手話を教えてくれた。特に教室には通っていないので、教え子たちに教わった手話と言える。が、日常的に使っているわけではないので、すぐに忘れる。マッキーさんには、いつも、また忘れたのか!とあきれられている。それでも、何とか簡単な会話はできる。わからない時は、指文字が役にたつ。「熱中症って手話でどうやるの?」なんていう質問ができるからだ。

 あとは、「ごめんなさい、私手話へたで。すぐ忘れちゃうんですよ〜。」とか「ゆっくりお願いします」「もう一度お願いします」などは、ちゃんと手話でできる。このように、私は悪知恵で乗り切ろうとしているところがある。だから進歩が遅いんだろうな。

 

ということで、マッキーズは、同い年のマッキーさんと私(あと数年で古希なんです!)を筆頭に、少々平均年齢が高めのメンバーでなかなか楽しくがんばっている。



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