先々日、大学生のKouさんからラインをもらった。彼とは、幼児期の出会いだが、今も時々、zoomを使って構音などの相談にのったりしている。高度難聴と視覚障害の二重障がいがあり、補聴器と人工内耳を装用している。
ラインには、彼が通う大学のWeb上の大学新聞の「障がい学生支援センター 誰もが学びやすいキャンパスを目指して」というタイトルの記事のURLが送られてきていた。記事を見ると、ドーンと写真が載っていて、なんと彼は写真のど真ん中で、サポーターの女子学生に挟まれて、ややはにかんで微笑んでいる。後ろにいるのは、大学教授や支援コーディネーターの先生だ。記事は、大学の障がい学生支援センターの紹介と障がいのある学生とサポートする学生のクロストークの紹介だった。
クロストークで、Kouさんが障がい学生の代表として、サポーターの学生とやりとりする姿は、支援される側とする側が、にこやかに、かつ対等な感じで話していて、いい雰囲気が伝わってきた。
もちろん大学側の宣伝的な役割も大きいのだろうが、Kouさんが、ポジティブな姿勢で支援を受け、意欲的にキャンパスライフを送っている様子が垣間見えて、うれしくなった。
Kouさんは、難聴に加えて、年齢が上がるにつれ、徐々に視覚障害を併発している。最初にそれをきいた時は、ドキっとしたが、実際に大学生になった彼と話してみると、案外ケロッとしており、むしろこれからの大学でのゼミでの学びが楽しみで、興味津々といった感じで、その前向きな姿勢に感動さえした。
大学の見学者に大学を案内するというボランティアも進んでおこなっていたし、大学学園祭では、学科の出し物の実行委員長も引き受けた。バイトもマックでがんばっている。どれも難聴があるだけで、尻込みしがちな活動だ。
それでもやはり、見えにくいことは、あまり友達に言えなかった時期もあったそうだ。幼児期に一緒に療育施設に通った友達は、みな難聴単独だったこともあるだろう。彼が中学生の時、野球をしていて、ちょうど彼が守備していたところに、フライが飛んできたことがあった。しかし、彼の視野には、ボールが目に入らず、そのボールを受けることができなかったそうだ。ボールがきているのに、ただ突っ立っていた彼は、周りの友達にめちゃくちゃブーイングされたという。その時、やはりきこえにくさばかりでなく、見えにくさについても、ちゃんと周りにわかってもらわないとダメだなと思ったということだ。
そういう出来事からちゃんと学ぶことを学び、よりよい方向に自己修正できるのが、Kouさんのすごいところだなと思う。今後は、大学のゼミで障がい者をサポートするテクノロジーの研究について学ぶことも楽しみにしているそうだ。私までワクワクする。
きこえについても、全くきこえないわけではないがきこえないことも少なくない。視覚についても全く見えないわけでもないけど見える範囲が狭いという、なかなか説明が難しい状態でも、何かあるたびに大学支援センターと相談できるシステムは、非常に心強いことだろう。
今の時代でも、支援が行き届かない大学もあるという。また、むしろ中学高校での障がいのある生徒への支援も未整備なところが少なくない。また、大学を出た後の社会での理解やサポートは、まだまだ十分とは言えないが、大学での経験が、サポートの必要性を訴えてゆく力になるといいなと思う。
彼の活躍をずっと応援したい。
興味のある方は、彼の記事ものぞいてみてください。
「AGU NEWS 特集 障がい学生支援センター
誰もが学びやすいキャンパスを目指して」
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