前回は、かなりペシミスティック(悲観的)な論調で「宇宙開発」を語りましたが、今回もまたそうなりそうです。
前回、人類の宇宙開発は現実的には月が限界としましたが、これに今1番力を注いでいるのは中国です。
このコラムを読むと、その実行力に感銘を受ける向きもありますが、それは独裁政権だからこそ成し得るというコトも見逃してはいけないと思います。
いったいこの基地建設にどれだけの費用が掛かるのかは知りませんが、それは当然、教育や医療、福祉や農業の保全費用を犠牲にして捻出されるはずで、地球環境を無視した宇宙進出となるコトは必至でしょう。
そこまでして月から何が得られるのかは、前回コラムで紹介した通り、「ヘリウム3」くらいです。
これは核融合の研究に使われていますが、そんな危ない技術が実用化されるとは到底思えず、されたら地球はかえって危機に瀕すると思います。
中国は宇宙開発を「人類の進歩」と謳っており、国威発揚して愛国心を高める手段にしていますが、実際にはほぼ100%が軍事目的なので、人類の進歩とは言い難いと思います。
これについては近未来の物語「Sun」でも描いており、中国はキラー衛星をチベット上空に結集させて、そこに来た他国の衛星を片っ端から撃ち落としてしまいます。
これはチベット蜂起軍の通信手段と「兵糧入れ」を封じるタメでしたが、こうした宇宙空間への領有権拡大は、中国の上空全てに及ぶ可能性もあります。
それは、近未来では衛星通信技術がより発達すると思われるからで、情報統制を維持するタメには他国の衛星を全てブロックする必要に迫られるかも知れないからです。
しかし、そんなコトをしたら世界中からバッシングが集中するのは必至で、技術の粋を集めた衛星を撃墜するのはそれこそ「子供の夢を壊す」コトと言えます。
ここで、わたしが何故こんなペシミスティックな論調で宇宙開発を語るのかを明かしますと、わたしは都立航空高専に通っていた頃いっとき、宇宙関係の本ばかり読んでいた時期があり、NASAで働きたくてアメリカに交換留学(一年)までしたからです。
しかしそうした「宇宙熱」は、子供っぽい夢だったと悟る時は必ず訪れ、わたしの学問的興味がより「地に足の着いた」生命へと向かったのも必然でした。
これは前回紹介した映画「コンタクト」の影響もあり、本気で銀河を旅して他の星の文明と接触したいならば、まずは自分の生命をそれに耐え得るモノに変革する必要があると思い至りました。
しかしそんなコトは実際には不可能であり、人類は精々が電波でしか銀河を旅するコトは出来ないと知りました。
「コンタクト」に続く真面目な宇宙映画「インターステラー」でも、主人公のマシュー-マコノヒーは最終的には電波と成って地球に生還し、それはもうスピリチュアル(精神的)な物語になっています。
思いっきりガチな宇宙小説「闇の左手」も、やはり最後はスピリチュアルな領域に入っており、それならば初めから死後の世界として描いた「銀河鉄道」の方が、まだ理路整然としている気がします。
前回、わたしの物語では「銀河鉄道」を「天界に転生する際の乗り物」にすると述べましたが、これについてはもう少し解説が必要でしょう。
天界への転生は、真面目な仏教徒ならば信じて然るべきコトで、実際に多くのチベット人はそれに向けて精進しています。
わたしは不真面目な仏教徒ですが、転生するならばやっぱり天界がいいナと思い、銀河を旅して気に入った星に転生したいと思います。
チベット独立を目指して戦い散って行った蜂起軍と、その冥福を祈って殉死した秀祥のタメに、この「銀河鉄道」を地上から飛び立たせるストーリーには理解が得られるかと思い、次回もまたその発車に向けての準備をさせて貰います。